世界的な不安が高まる局面で安全資産と見なされてきた円の地位を巡り、懐疑的な見方が広がっている。これにより、今週8カ月ぶりの安値を付けた円の下落に拍車がかかる可能性がある。
投資家は数十年にわたり、金融危機や地政学的な緊張など、市場が混乱するたびに円を買ってきた。日本が巨額の経常黒字を持ち、政治的に安定し、国内に大きな投資家基盤を抱えていることが、リスク資産が急激に値下がりする際のセーフヘイブン(安全な避難先)としての信頼を支えていた。

一万円札、五千円札、千円札の各紙幣
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
しかし、そうした投資動向が今、揺らいでいる。円がヘッジ手段としての一貫性を失いつつある上に、主要通貨を避けて金(ゴールド)に資金を振り向ける動きも広がっているためだ。
円は今週、保守派の高市早苗氏が自民党総裁選で予想外の勝利を収めたのを受け、対ドルで節目となる150円を超える円安となった。
シュローダー・インベストメント・マネジメントのアジア担当マルチアセット投資責任者、近藤敬子氏は、これまで「リスク回避が強まる局面ではヘッジの観点から円を買い持ちにすることもあった。以前のサイクルでは円はかなり信頼できる存在だった」と述べた上で、現在はコストが高く、信頼性も低いためあえて「そうしたヘッジを取りたい理由があまりない」と指摘した。

原題:Yen’s Haven Status Undercut by Gold Surge, BOJ Rate-Hike Doubts (抜粋)
— 取材協力 Rthvika Suvarna, Mia Glass, Kentaro Tsutsumi and Mari Kiyohara
