高橋由一の花魁から狩野派のスナイパー観音まで!
東京藝術大学大学美術館(上野公園)で「藝大コレクション展2025 名品リミックス!」が10月7日から始まりました。11月3日まで。開幕前日の報道内覧会で取材しました。
《麻布一本松狩野家資料》より「滑稽仏画」(部分) 江戸時代・19世紀 東京藝術大学蔵
平櫛田中《鏡獅子》 昭和15年(1940) 奥は平櫛田中《鏡獅子試作》 昭和13年(1938) いずれも東京藝術大学蔵
国宝・重文から退任教員の新収蔵作品まで、圧巻のコレクションを通じて、135年におよぶ美の学びの軌跡と広がりを鮮やかに実感できます。
(読売新聞 美術展ナビ編集班 岡本公樹)
会場入口 手前右は福田美蘭《秋 – 悲母観音》平成24年(2012) 東京藝術大学蔵
藝大コレクション展2025 名品リミックス!
会場:東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1
(東京都台東区上野公園12-8)
会期:2025年10月7日(火)〜11月3日(月・祝)
開館時間:10:00〜17:00(最終入館 16:30)
休館日:月曜日、10月14日(火)
※ただし10/13(月・祝)、11/3(月・祝)は開館
観覧料:一般 500円、大学生 250円
※高校生以下および18歳未満は無料
※障がい者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料
問い合わせ:TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
アクセス:JR上野駅(公園口)・東京メトロ千代田線 根津駅1番出口より徒歩10分/京成上野 正面口・東京メトロ日比谷線・銀座線 上野駅7番出口より徒歩15分
詳細は、東京藝術大学大学美術館 公式サイトまで。
プレビュー
東京藝術大学大学美術館(東京・上野公園)で「藝大コレクション展2025 名品リミックス!」が10月7日から11月3日まで開催されています。
本展では、先人の作品に向き合い、描き写すことで深まる“学び”のかたちに光をあてます。コレクションを代表する優品とともに、模写やスケッチなど、これまで紹介される機会の少なかった作品や資料を新たな視点で紹介し、作家たちがどのように名作に学び、自らの表現を模索してきたか、その歩みにも迫ります。
狩野常信《鳳凰図屛風》 江戸時代・17-18世紀 東京藝術大学蔵
高橋由一《花魁》 明治5年(1872) 東京藝術大学蔵
展覧会概要
東京藝術大学は、その前身である東京美術学校の開校前から135年以上にわたり、学生の学びに役立つものを古今東西を問わず収集するという方針のもと、作品や資料の収集を進めてきました。そのなかには、歴代の教員や学生の作品、教材なども数多く含まれており、現在では約3万件を超える充実したコレクションとなっています。
「藝大コレクション展2025」では、先人の作品に向き合い、描き写すことで深まる“学び”のかたちに光をあてます。コレクションを代表する優品とともに、模写やスケッチなど、これまで紹介される機会の少なかった作品や資料を新たな視点で紹介し、作家たちがどのように名作に学び、自らの表現を模索してきたか、その歩みにも迫ります。
柴田是真《千種之間天井綴織下図》より「秋海棠」明治20年(1887) 東京藝術大学蔵
展覧会構成
<名品と対話する秋>
《絵因果経》(国宝)や《小野雪見御幸絵巻》(重要文化財)、尾形光琳《槙楓図屏風》(重要文化財)などの古画の名品をはじめ、橋本雅邦《白雲紅樹》(重要文化財)、令和5年度に修復を終えた高橋由一《花魁》(重要文化財)などの近代美術の代表作を展示します。また、彫刻家・平櫛田中(1872−1979)が学生教育のために蒐集した「平櫛田中コレクション」など、退任する教員が今後の教育・研究への貢献を願って寄贈した作品も紹介します。
尾形光琳《槙楓図屏風》 18世紀 東京藝術大学蔵
《小野雪見御幸絵巻》 鎌倉時代(13世紀後半) 東京藝術大学蔵
柴田是真《千種之間天井綴織下図》より「女郎花」明治20年(1887) 東京藝術大学蔵
平櫛田中《鏡獅子》 昭和15年(1940) 東京藝術大学蔵
<令和の新収蔵品>
東京藝術大学では、退任する教員の記念展を大学美術館などで開催する伝統があり、教員が自作を寄贈することもあります。これらの作品は、教育と創作の場としての東京藝術大学の意義を示す貴重な資料です。今回は、近年に退任した教員の寄贈作品を収蔵後初めて展示します。
手塚雄二《夢模様》 昭和55年(1980) 東京藝術大学蔵
上原利丸《振袖 松竹梅・廻》 令和3年(2021) 東京藝術大学蔵
特集1 小場恒吉おばつねきち「日本文様史」図版資料
東京美術学校で「日本文様史」を教えた小場恒吉(1878–1958)は、国内外の考古資料や古美術品の膨大な実地調査と緻密な模写を行い、文様史学の礎を築きました。令和5年度に新たに収蔵された小場の講義用資料集から、小場が構想した文様変遷の展開を読み解きます。
小場恒吉《小場恒吉「日本文様史」図版資料》より「宝相華」(部分)昭和15年~25年(1940-1950) 東京藝術大学蔵
小場恒吉《彩色手箱》 明治45年(1912) 東京藝術大学蔵
特集2 「うつしてまなぶ」
先人の作品を「うつす」という行為は、古今東西の芸術家たちが自己研鑽のために行ってきた学習方法の一つです。こうした「まなぶ」ための模倣の成果は、豊富な図像を後世へ伝承していくことに繋がり、それらは創造の源泉として昇華されました。本特集では、狩野派ならびに住吉派の模本・粉本、西欧古典絵画の模写をはじめとする教育資料に焦点をあてつつ、名画に学んだ画家たちの取り組みを紹介します。
《麻布一本松狩野家資料》より「滑稽仏画」(部分) 江戸時代・19世紀 東京藝術大学蔵
本展では、美術史に名高い名作から、令和時代に新収蔵された最新作まで、さまざまな時代にまたがる作品を通して、多様な表現が響き合う様子を楽しめそうです。また、「うつす」ことで学びを深めていった芸術家の営みを掘り下げた2つの特集展示も要注目。他では見られない、東京藝術大学大学美術館ならではの隠れた意外な名品を続々登場。入館料もワンコイン以下と財布にとても優しく気軽に楽しめるのも嬉しいところです。
