高知県内最大の芸術の祭典「県展」は79回目を迎えました。
2025年は8つの部門に1378人から2605点の応募があり、このうち1026点が入選以上となっています。

県立美術館では洋画・日本画・先端美術の3部門、高知市文化プラザかるぽーとでは彫刻、工芸、書道、写真、グラフィックデザインの5部門の入賞作品を展示しています。

グラフィックデザインには一般から137点の応募がありました。
かるぽーとの会場には特選など83作品と審査員や無鑑査などの6作品が展示されています。
審査員を務めた県展無鑑査の手島健司さんに作品の見どころを聞きました。

■県展無鑑査 手島健司さん
「入選作品も受賞作品も少しずつレベルが上がってきている。特に残念ながら落選した作品も本当に入選、ほぼ入選じゃないかというような作品もありました。そういったところで全体のレベルが上がってきているかなというふうに思っています」

グラフィックデザインとは見る人に情報やメッセージを効果的に伝達するために作るデザインのことで、会場にはポスターやイベントの告知などさまざまな作品が展示されていてどれも作者の個性があふれています。

特選に輝いたのは朝比奈富美男さんの「世界の文字勉強会」です。

日本人は外国人を理解する必要があるという作者からの強いメッセージが伝わってくると手島さんは指摘します。

■手島さん
「まず一番にやっぱりオリジナリティ。デザインの場合はやはり社会性いうかそういったものも非常に大切ですので、そういった観点があるのではないかというふうに思っています。今コンピューターで作るCG作品が多いんですけどCG作品ではすごくきれいには仕上がるんですけど力強さがない。そういうところでいくと手で描かれたこの荒々しいタッチがポスターとしてのインパクトを与えているのではと思う」

自分の世界を表現するのではなく、見る人にメッセージが伝わるかがポイントとなるグラフィックデザインの世界。
作品に描かれた人々の表情からは様々な国や人の複雑な内面が伝わってきます。

将来性あふれる新進作家に贈られる山六郎賞には坂本阿綺子さんが輝きました。

立体の取っ手がついた「芸術がいっぱいの引き出し」を表現したポスターはデザイン作家ならではの苦労を表現していると手島さんは指摘します。

■手島さん
「デザインを作る作家の世界というのは、常日頃からいろんな技法いろんなアイデアいろんな発想、そういったものをとにかく自分に蓄積して、手書き風がありそれからこう立体なものをつけてあり、コラージュがあり、スタンプがあり、そういういろんな技法を重ね合わせてひとつの絵に仕上げている」

この作品には立体的に見せようとした部分がいくつもあるため少し離れて鑑賞するのがおすすめだそうです。

30歳以下の受賞歴のない 若手作家に贈られるのが新人賞です。
2025年は伊藤瑞樹さんが選ばれました。

苔むした動物のサイの背中部分に古い城や工場を描いた不思議な作品で、忘れ去られた都市を表現しています。

■手島さん
「機械を使ってひとつの絵画といえるくらいの力作を作っていると思う。単純にこう写真を貼るだけではなくていろんなテクスチャーを加えて、コンピューター上で、すごく重厚な雰囲気を出している。新人賞としたが新人とは思えないようなすごい力強さを持っていると思う」

グラフィックデザインは若い人の出品が多く、2025年の一般展示作品83点のうち45点は高校生や専門学校生が手がけています。
こうした若い世代の視点が見えるのもグラフィックデザインならではの魅力です。
作者からのメッセージを受け取りに皆さんも会場を訪れてみませんか。

第79回県展は10月19日まで開かれていて県立美術館で洋画・日本画・先端美術をかるぽーとで彫刻・工芸・書道・写真・グラフィックデザインを展示しています。

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