自民党総裁に選出された高市早苗氏。自民党総裁に選出された高市早苗氏。AP通信高市早苗氏が自民党総裁選で勝利し、党史上初の女性党首となった。これにより、日本初の女性首相就任がほぼ確実視されている。台湾と長年にわたり緊密な交流を続けてきた高市氏は、安倍晋三氏の「台湾支持・中国牽制」路線を継承する重要な存在と見られている。彼女は日本の防衛力強化、日米同盟の深化を主張し、「非レッド・サプライチェーン」戦略を推進。半導体やエネルギー分野で台湾との緊密なパートナーシップ構築を目指す。Business Insider Taiwanが日本の経済・政治アナリスト、福澤喬氏に独占インタビュー。軍事防衛、外交戦略から株式市場の展望まで、高市早苗氏の当選が日台関係とアジア太平洋のパワーバランスに与える影響を分析する。こちらはBusiness Insider Taiwanが総裁選当日の10月4日に報じた内容を翻訳したもの。高市氏は安倍晋三氏の国防理念を継承、台湾にプラス

安倍晋三氏はかつて「台湾有事は日本有事だ」と発言した。同じく保守派の高市早苗氏はこの安倍氏の考えを支持しており、日本の防衛力強化や日米同盟の深化、そして日台関係の推進を訴えている。高市氏はまた、日本国憲法を改正し、「自衛隊」を「国防軍」として明記することで、より積極的な防衛機能を持つ軍として位置づけたいと考えている。

福澤喬氏は例を挙げて説明する。

「もし中国が台湾に向けてミサイル攻撃を行った場合、花蓮空港の航空機は避難しなければならず、最も近いのは沖縄の基地です。仮に米軍が台湾軍機の着陸を許可したとしても、現行の日本国憲法ではそれは想定されていません。だからこそ高市氏は憲法改正を進めようとしているのです」

今年4月に高市氏が台湾を訪問した際、台湾と日本は類似した地政学的問題を抱え、権威主義の圧力に直面していると表明。安倍氏の遺志を継承し、台湾・米国・日本・フィリピンなどと連携してインド太平洋地域の強固な防衛ネットワークを構築すると述べた。福澤氏は、高市氏が首相になれば台湾の防衛安全保障にとってプラスになると見ている。

高市氏の外交政策:台湾の国際的地位の向上を期待

高市氏は自民党総裁選に三度立候補した(2021年、2024年、2025年)。2021年の選挙期間中に蔡英文総統(当時)とビデオ会談を行い、台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的かつ先進的な協定)、世界保健総会(WHA)、国際民間航空機関(ICAO)などへの参加を支援し、台湾の国際的地位向上を助ける意向を表明した。

福澤氏の分析によれば、高市氏の中国に対する姿勢は比較的強硬である一方、現職の韓国大統領である李在明氏は自由派政治家に分類され、対中親和的な姿勢が強いと見られている。

高市氏が政権を握れば、中・韓・日・台湾の政治的駆け引きは日本の外務省にとってより一層緊張を伴う外交課題となる。しかし今回の自民党総裁選で共に戦った小林鷹之氏と茂木敏充氏は、外交と経済でそれぞれ強みを持っており、今後高市氏が多方面からの政治的圧力にバランスを取る助けとなるだろう。

「非レッド・サプライチェーン」で合意

高市氏は今年台湾を訪問した際、賴清徳総統と日台間の「非レッド・サプライチェーン」構築について協議し、半導体、エネルギー、AIなどの分野で協力し、産業競争力を共に高めることを目指した。福澤喬氏は、高市氏が岸田文雄首相在任時から「非レッド産業チェーン」を提唱し、中国主導のレッド・サプライチェーンからの脱却を目指し、供給網の多角化を進めようとしていたと指摘した。

「日台間の国交樹立はまだ遠い道のりだが、高市早苗氏の就任後、民間と政府の協力の可能性はますます広がっている」(福澤喬氏)

市場は日本株の好材料を期待

高市氏が2021年に立候補した際、「早苗経済学」を提唱し、金融緩和政策、柔軟な財政政策、より大胆な危機管理と成長投資などを掲げた。福澤喬氏はこれを「アベノミクス」の進化版と位置付け、外資の日本流入を促進すると分析する。

「高市氏の当選は日経平均株価にとってプラス材料であり、彼女が首相に就任すれば日経平均が5万円を超える可能性すらあると予測する声もある」(同)

福澤氏は、マッキンゼー出身の茂木氏が安倍政権時代にトランプ米大統領との交渉を担当したことを指摘。高市氏が首相になれば、茂木氏が日本側の交渉を主導する可能性が高いと述べた。

蔡英文への憧れ「不屈の女性」

高市氏は公の場で蔡英文に憧れ、彼女を「不屈の女性」と評したことがある。とはいえ、両者のリーダーシップ哲学は大きく異なる。福澤氏は、蔡英文氏が在任中に台湾の国際的なアイデンティティ確立に尽力したのに対し、保守派の高市氏は国家主権を重視し、「彼女はトランプ氏に少し似ており、自国の力を取り戻そうとしている」と分析する。

さらに高市氏は自らの意見を明確に表明し、安倍氏と同様に自らの考えを主張し、容易に屈服しない。岸田文雄氏や石破茂氏のような「いい人」を目指すタイプとは異なり、「高市の当選で、強いリーダーが久々に誕生した」と評される。

一方、蔡英文は李登輝のように控えめな姿勢を保ち、周囲の意見を受け入れつつ、ゆっくりと布石を打つ。最初から自らの意図を明かすことはなく、「蔡英文も高市早苗も、それぞれが敬愛する先輩の手法を模範としている」と分析されている。

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