中国・北京で3日実施された「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」を記念する軍事パレードに、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が出席した。従来の孤立したイメージから、友好国との関係強化で恩恵を受けるグローバルプレーヤーへの転換を図る新たな節目になった。

  金総書記はこの10年の大部分で、国際的な孤立を象徴し、海外のフォーラムから排除され、厳しい制裁にさらされる指導者とされてきた。北朝鮮の核開発と人権侵害によって、こうした評価はさらに揺るがないものとなっていた。

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ロシア国営メディアのスプートニクが配信した写真で中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領と言葉を交わす北朝鮮の金正恩総書記(右)(9月3日、北京の天安門広場で)

Photographer: Alexander Kazakov/Sputnik/AFP/Getty Images

  しかし、権力継承から約14年を経て、北京で多国間の外交舞台に初めて登場したことで、そうした評価とは異なる現実が浮かび上がった。金総書記は軍事パレードに先立ち、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領とレッドカーペットの上を歩きながら笑顔で言葉を交わし、天安門の楼上へと向かった。3氏は世界のパワーバランスの再構築という共通の利害を持つ各国首脳らと交流を図った。

  米中対立の激化やロシアによるウクライナ侵攻、トランプ政権の貿易戦争などで地政学的な秩序が揺らぐ中、金総書記のそうした姿は北朝鮮の立場をいかに巧みに活用しているかを物語る。トランプ氏が再び対話を模索した場合でも、金氏にとってはロシアとの軍事連携や核ミサイル戦力の拡充が強力な交渉材料となる。

  多国間外交の場に北朝鮮の指導者が出席するのは約半世紀ぶりだ。1980年に当時の金日成主席が旧ユーゴスラビアのチトー大統領の葬儀に参列しており、その時までさかのぼる。また、北朝鮮指導者による中国の軍事パレード参加は、59年に金日成氏が旧ソ連のフルシチョフ第一書記と共に臨んで以来となる。

  今回の訪中では、金総書記が習主席やプーチン大統領とそれぞれ首脳会談を開くとみられる。米朝協議再開の可能性を見据え、中国から経済的・外交的な支援の確保を目指すほか、ウクライナでの戦争終結も視野にロシア依存を緩和し、対中関係を強化する狙いがあると、韓国国会のイ・ソングン議員が国家情報院による説明を基に述べた。

  また、金総書記が最新兵器を並べた中国の軍事パレードに習、プーチン両氏と観覧することで、北朝鮮が核保有国としてのイメージを強化し、核ミサイル開発に対する暗黙の支持を得る思惑もあると、韓国の統一研究院のホン・ミン研究員は指摘する。

  ホン氏は金氏の軍事パレード出席について、北朝鮮は今後も核開発を進め、核保有国としての地位はもはや揺るがないという明確なメッセージを米国とその同盟国に送ることになるとの見方を示した。

原題:Kim Jong Un Shifts Image to Global Player From Isolated Pariah(抜粋)

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