オーストラリア政府は次期フリゲート艦の建造について、日本の提案を採用し、三菱重工業を発注先に選定した。マールズ副首相兼国防相が5日、記者団に明らかにした。
豪州の次期フリゲート艦を三菱重が受注すると決まったことで、両国間の防衛面での戦略的な協力関係が一層強化される。
「もがみ型」護衛艦をベースとする日本の提案が、ドイツのティッセンクルップ・マリン・システムズに競り勝った。発表を受けて、三菱重の株価は反発。一時前日比4.5%高の3705円と6月30日以来の日中高値を付けた。

横須賀基地に停泊する「もがみ」と「くまの」
Photographer: David Mareuil/Anadolu Agency/Getty Images
林芳正官房長官は同日の会見で、日豪間で11隻のフリゲート艦を共同開発、生産すると発表した。日本の高い技術力への信頼や自衛隊と豪軍の相互運用性の重要性が評価されたと発言。日豪間の「安全保障協力をさらなる高みに引き上げる大きな一歩となる」と語った。最終的な契約の締結は来年初めを見込んでいる。
三菱重と川崎重工業は2016年、オーストラリアの次期潜水艦12隻の建造事業でフランスのDCNSグループに競り負けた経緯がある。当時は中国政府が日本の軍事力強化の懸念から、豪州に対し、南シナ海の問題に関わらないよう求めていた。
みずほ証券の伊藤辰彦シニアアナリストは正式発表前の一部報道段階での5日付リポートで「印象はポジティブ」とコメント。日本製の防衛装備品での本格的な輸出となり、日系防衛関連企業が輸出案件を今後手掛けやすくなることが期待できると考えられるため「わが国の防衛産業にとって新たな幕開けと呼ぶにふさわしい案件とみる」と評価した。
今後は建造遂行能力や得られる収益性に焦点が当たるとした上で、グローバルの防衛産業は収益性が比較的高く、プロジェクトを適切に遂行できれば三菱重への利益貢献が期待されるとした。
マールズ副首相によれば、もがみ型のフリゲート艦はステルス性に優れ、長距離ミサイルの発射能力を持つ垂直発射装置32基を備えている。従来よりはるかに少ない乗員で運用できる強みもある。
次期フリゲート艦は最初の3隻を日本で建造し、29年に最初の納入、30年に運用開始を予定する。
マールズ副首相はキャンベラで記者団に対し、「豪州と日本が締結する防衛産業の合意としては、明らかに最大となるだろう。両国の2国間関係にとって非常に重要な節目になる」と語った。
オーストラリアは、太平洋とインド洋に囲まれる開かれた貿易国家であり、輸出入を安全なシーレーン(海上交通路)に依存している。次期フリゲート艦を巡る今回の動きは、中国の勢力拡大に伴い、ますます緊張が高まる地域情勢を反映したものと言える。
原題:Australia Selects Japanese Frigate Plan, Boosting Strategic Ties(抜粋)
(4段落目に林官房長官の発言を追加して更新します)
