米国がウクライナ支援を停止すれば、欧州がどれだけ支えられるかが焦点になる。
>>特集「国際秩序大崩壊」はこちら
ロシアが2022年2月、ウクライナに全面侵攻を始めたことは、国際秩序崩壊の象徴的な起点となり、「戦争の時代」の入り口となった。それまで、中東やアフリカなどで戦火が絶えなかったのは確かだが、「平和だと思われていた欧州に戦争が戻ってきた」と大騒ぎになった。米国と並ぶ核兵器保有国であり、国連安全保障理事会の常任理事国でもあるロシアが隣国を全面侵攻したことのインパクトは大きかった。ロシアが核兵器を使用するリスクが現に存在することも忘れるべきではない。これがウクライナ戦争の重要な特徴だ。
全面侵攻後、世界のメディアはミサイルやドローン(無人機)による都市への攻撃や、戦車戦、塹壕(ざんごう)戦、兵士や民間人の犠牲を日々報じた。時間がたつ中で、それが何か日常的で当たり前の光景かのように錯覚する人もいるだろう。国際秩序の崩壊は我々一人一人の心の中でも進みかねない。
今年1月、米国でトランプ政権が発足した後、ウクライナに関する米欧諸国の足並みに乱れが目立つ。しかし、全面侵攻から3年半ほどの間、米欧は当初の想定と比べ、極めて高いレベルで結束を維持した。国際法違反の侵略行為をするロシアへの非難や制裁とウクライナ支援がおおむね継続した。
そうした米欧の立場を揺るがしたのは、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃やトランプ政権の発足であり、それにイスラエルと米国による6月のイラン攻撃が加わった。イスラエルの行為は自衛権の行使と正当化し得ないものにエスカレートし、ジェノサイド(大量虐殺)をはじめとして、各種の戦争犯罪行為が指摘されている。
「二重基準」で米欧は立場悪化
その状況で、イスラエルをなかなか非難しない米欧の姿勢が問われた。ロシアの戦争犯罪を非難しつつ、イスラエルの同様の行為を非…
残り1985文字(全文2785文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

