おとめ座銀河団の全景。チリにあるベラ・C・ルービン天文台によって撮影された最初の画像のひとつ。(Image by NSF-DOE Vera C. Rubin Observatory)

おとめ座銀河団の全景。チリにあるベラ・C・ルービン天文台によって撮影された最初の画像のひとつ。(Image by NSF-DOE Vera C. Rubin Observatory)

 チリのアンデス山脈にあるベラ・C・ルービン天文台が6月23日(現地時間)に公開した最初のテスト画像が天文学者たちを驚かせている。これらの画像には、激しく衝突する天体からはるかかなたにある星雲まで、宇宙の姿がかつてないほど詳しく写し出されていた。その出来栄えは衝撃的だ。(参考記事:「太陽系の第9惑星が見つかるかも、超巨大な“怪物望遠鏡”が挑む」)

「実に優れた観測機器です。観測可能な範囲がこれだけ深く、かつ広ければ、特に光の弱い恒星の様子などを、鮮明に捉えることができるでしょう」と、米スタンフォード大学の銀河考古学者クリスチャン・アガンゼ氏は言う。氏は同天文台のデータを用いて、銀河系の形成と進化の研究を行う予定だ。「まさに新しい時代の到来です」

 この天文台には、重要な構成要素がいくつかある。シモニー・サーベイ望遠鏡と呼ばれる巨大な望遠鏡は、世界最大で最高解像度のデジタルカメラと接続されている。口径8.4メートルの光学赤外線望遠鏡と32億画素という驚異的な解像度のLSSTカメラの組み合わせで、かつてない速さと詳しさで夜空の広大な範囲を繰り返し撮影できる。1枚の画像がカバーする空の範囲は、満月45個分の広さだ。

2025年5月30日夜に撮影された、ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡。(Photograph by Tomás Munita, National Geographic)

2025年5月30日夜に撮影された、ルービン天文台のシモニー・サーベイ望遠鏡。(Photograph by Tomás Munita, National Geographic)

 今後10年にわたり、ルービン天文台は3夜ごとに、南半球から見える空全体の超高精細な新しい地図を製作するだろう。これほどの広範囲を観測すれば、宇宙が時間とともにどのように変化していくのかを見せてくれる、最新かつ詳細な「映画」を作り出せると、科学者らは考えている。

「非常に速く、かつ頻繁に夜空を撮影できるため、文字通り毎晩、数百万個もの変化する天体を検出できるようになります。また、画像を組み合わせて、数十億光年離れた銀河など、非常に暗い銀河や恒星まで観測できるでしょう」と、ルービン天文台のLSSTカメラのプログラム責任者であり、天文台建設の副所長を務めるアーロン・ルードマン氏は述べている。

「ルービン天文台で画像の撮影が開始される様子を目の当たりにするのは、胸踊る体験でした。この天文台があれば、銀河系の恒星や太陽系の天体などを、まったく新しい方法で探査できるようになります」

2025年5月31日、ルービン天文台で撮影された画像を見つめる、ソフトウェアの専門家で副プロジェクトマネージャーのウィリアム・オマレイン氏。(Photograph by Tomás Munita, National Geographic)

2025年5月31日、ルービン天文台で撮影された画像を見つめる、ソフトウェアの専門家で副プロジェクトマネージャーのウィリアム・オマレイン氏。(Photograph by Tomás Munita, National Geographic)

2025年5月30日、ルービン天文台の管制室で作業をする観測の専門家ルーカス・アイザート氏。(Photograph by Tomás Munita, National Geographic)

2025年5月30日、ルービン天文台の管制室で作業をする観測の専門家ルーカス・アイザート氏。(Photograph by Tomás Munita, National Geographic)

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