中国鉱産資源集団(CMRG)が設立からわずか3年で、1300億ドル(約19兆円)規模の中国鉄鉱石輸入市場で最大の存在感を示している。
CMRGの台頭により、これまで荒れやすかった鉄鉱石先物市場は記録的に安定し、価格変動が抑制されている。また、同社は世界的な鉱山大手との交渉に直接関与し、中国の巨大な製鉄業界とリオティントやBHPといった供給側の力関係にも変化をもたらす可能性が浮上した。
CMRGは、過去15年ほど中国当局を悩ませてきた市場を変革しつつある。その影響力は国家備蓄を連想させ、製鉄会社が苦境に陥ると供給を増やし、価格が低迷すると在庫を積み増すという戦略を展開している。機微に触れる問題だとして事情を知る関係者が匿名を条件に明らかにした。

ホライズン・インサイツの非鉄金属アナリスト、バンシー・バイ氏は「鉄鉱石輸入依存が過剰になる問題を根本から解決することがCMRGが存在している主目的で、10余りの国内主要港湾で鉄鉱石在庫を構築している」と指摘する。
中国当局はこれまで、株式や人民元そして穀物・金属などの主要コモディティーにおいて価格変動をなだらかにしようとしてきたが、鉄鉱石はその中でも特に対応が難しかった。というのも、中国の年間鉄鋼生産量は10億トン規模に達しており、価格急騰が国内でインフレを引き起こす恐れがあるためだ。
実際、2021年には新型コロナウイルス禍で鉄鉱石価格が急上昇した。当局は業界レポートの検閲や在庫放出の要請、過剰な投機の抑制などの介入策を講じた。22年に習近平政権はCMRGを設立。中国の鉄鉱石供給体系における仲介役として、鉱山大手に対する交渉力の向上を目指した。
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市場参加者によれば、CMRGはすでに最大のトレーダーで、国内鉄鋼メーカーの半数以上を代表してリオティントやBHPと交渉している。
ここ6カ月ほど価格の安定が目立っており、その主因は中国経済の減速や鋼材需要の鈍化にあるが、一因としてCMRGの存在が挙げられている。
ドレークウッド・プロスペクト・ファンドのポートフォリオマネージャーのジョエル・パーソンズ氏(シンガポール在勤)は「中国で鉄鋼需要がピークを迎えた後、価格交渉力の重心が鉱山側から製鉄会社に移るのは必然だった」と述べ、CMRGがそのプロセスを加速している可能性があるとの見方を示した。
原題:Xi’s Giant Iron Ore Trader Is Shaking Up a $130 Billion Market (抜粋)
