こうしてできあがったのがS氏の自宅なのだが、念のため伝えておきたいことがある。それはガレージの寸法について。小さなキャロルを入れるためだけと割り切ったため、最初から間口3m弱、奥行き4m強、高さ2.6mの空間しか想定しなかった。だからこそ設計者も家の真ん中にガレージを置く発想が出たに違いない。

【画像 27枚】玄関を入ってすぐ右側にガレージへつながる扉があり、居住スペースと自由に行き来できるようになっている

 またキャロルをガレージの中央に置くと、その前後左右に絶妙な空きが確保されている。これも計算済みの話だ。

「クルマと壁との隙間がなくて、体を横にして通るようなガレージにはしたくなかったので、そのあたりも事前にクルマの寸法を伝えて、しっかり考えてもらいました」

 まさにキャロルのためのオーダーメイドの空間なのだ。足掛け8年半かけて自身でフルレストアした愛車は、S氏にとって家族同然。何より大切にしているものだ。そのことは家族も十分に理解していて、自分たちが暮らす家の真ん中にガレージを造る話も受け入れてくれた。S氏にとってもキャロルにとっても、このうえなく幸せな場所なのだ。

 本誌の長年の愛読者とのことで、造り付けの棚には、創刊号からきちんと並べられていた(心から感謝いたします・編集部)。以前からこつこつと集めてきたミニカーやパーツ、グッズなども置かれていて、まさに「S氏ワールド」が見事に表現されていた。

 二男一女のお子さんのうち、一人でも旧車に興味を持ってくれたらうれしい、とS氏さん。物を大切に使う気持ちは、父から子へ必ず伝わるはずだ。

Nostalgic Hero 2021年8月号 vol.206
(記事中の内容は掲載当時のもの主とし、一部加筆したものです)

Nostalgic Hero 編集部

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