欧州連合(EU)加盟27カ国の3分の1、合計すると域内人口の約半分を占める国々が、EUが定めた財政規則に違反していることが4日、明らかになった。

  EUの執行機関、欧州委員会が公表した資料によると、9カ国で、財政赤字の国内総生産に占める割合が、EUが限度とする3%を超えた。昨年からの8カ国に加え、今年はオーストリアが新たに加わった。

  指定された国々は、いわゆる「過剰財政赤字手続き」に基づき、公共財政に関する厳しい監視を受けることになり、欧州委と合意した財政目標を達成できない場合、最終的に罰金処分を受ける可能性がある。

  財政規律に違反する加盟国の増加は、EUが直面する地域全体の深刻な財政的課題を浮き彫りにする。すでにぜい弱な経済成長や、高齢化によって悪化している財政に加え、ロシアの脅威に対抗するため、高額な再軍備費用が各国に重くのしかかっている。

  オーストリアは昨年、赤字がGDP比4.7%に達したものの、かつてはトップクラスの信用格付けを誇る数少ない借り手の一つだった。現在でも大手3格付機関で最高評価の1段階下に位置しているが、今後は公的財政の立て直しに向けて厳しい監督体制下に置かれ、すでに3年目に突入している景気後退の延長を避けつつ、対応を迫られることになる。

  このほか、ベルギー、フランス、ハンガリー、イタリア、マルタ、ポーランド、スロバキア、ルーマニアが財政規律に違反し、欧州委員会からの是正勧告の対象となっている。

  アイルランド、キプロス、ルクセンブルク、オランダの4カ国は、財政目標に対する悪化幅が最も大きい加盟国として欧州委の指摘を受けたものの、赤字と債務の水準が健全な範囲にとどまっているとして、制裁などの措置はとられていない。

  EUの財政ルールでは、財政赤字がGDP比3%、政府債務残高がGDP比60%を超える加盟国が、必要な時期に歳出削減や増税といった是正措置を取らなかった場合、制裁を受ける可能性がある。ただし、これまでに実際に制裁が科された例はない。

 

原題:EU Calls Out One Third of Members for Breaking Its Fiscal Rules(抜粋)

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