焦点:中国全人代、経済不安で「消費回復」前面に 技術も重点分野

 中国は5日開幕した中国全国人民代表大会(全人代)で、低迷する個人消費の喚起を、技術革新や工業生産よりも重視する姿勢を示した。写真は、雑貨店メイソウで買い物をする人ら。2月28日、上海で撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)

[上海/北京 5日 ロイター] – 中国は5日開幕した中国全国人民代表大会(全人代)で、低迷する個人消費の喚起を、技術革新や工業生産よりも重視する姿勢を示した。

李強首相は恒例の政府活動報告で、今年の経済成長率目標を昨年と同じく5%前後に設定するとともに、内需刺激と消費拡大に向けた「特別行動計画」を約束した。 もっと見る

これまで中国当局は、消費者の懐にカネを入れるような政策を取ることをためらってきた。しかし、米中貿易戦争再発の様相を呈する中、自国製品を海外ではなく国内で買ってもらうためにも、そうした政策の重要性は増すとみられている。

国泰君安のアナリストによると、今年の政府活動報告では「消費」が31回出てきて昨年の21回から増加した。「技術」は28回で昨年の26回からわずかに増えた。

昨年は、習近平国家主席が提唱した、先進的な製造業や技術発展への投資を意味する「新たな質の生産力」の発展と産業システムの近代化が最優先課題だった。

China's economic indicators China consumption vs investmentChina’s economic indicators China consumption vs investment

中国の家計支出が年間経済生産に占める割合は40%未満で、世界平均を約20ポイント下回る。これに対し投資は20ポイント上回る。

ガベカル・ドラゴノミクスのテクノロジーアナリスト、ティリー・ザン氏は「中国当局は、これまでの供給側の技術刺激策が不均衡を招き、消費者需要とサービス部門が低迷状態だったと認識している」と述べた。

今年の消費拡大策の一つが、昨年から始まり、現在は電気自動車(EV)や家電を対象とする下取り補助制度の大幅な拡充だ。同制度の支援に向けた超長期特別国債の発行計画を3000億元(約412億6000万ドル)とし、昨年より1500億元増額した。

財政省の報告書は「このプログラムをより多くの製品に拡大し、補助金の請求手続きを改正、古い製品のリサイクルシステムを改善することで、高額製品の消費を大幅に拡大させることが可能になる」としている。

子育てや高齢者介護、医療支援の強化も打ち出した。消費者が安心して支出するためには、社会のセーフティネット整備が必要との認識からだ。このほか、デジタル・スマート製品、文化、観光、スポーツへの支出拡大や、消費を刺激するために免税店関連の規則改正も打ち出した。 もっと見る Mentions of the words consumption and technology in annual report from Chinese premier Li QiangMentions of the words consumption and technology in annual report from Chinese premier Li Qiang

<技術は依然重点分野>

とはいえ、技術が重点分野であることには変わりない。政府活動報告は「複雑かつ厳しさを増す外部環境は、貿易、科学、技術などの分野で中国により大きな影響を及ぼす可能性がある」と警告。米国について直接言及していないが、プレナム・チャイナ・リサーチのパートナー、ボー・ゼンギュアン氏は「中国に対する米国の技術封じ込め措置がさらに強化されることは明らかだ」と述べた。

政府活動報告は、人工知能(AI)にも何度も言及した。国内新興AI企業ディープシークの台頭を背景に、若手の科学者やエンジニアに強力な支援と「重要な責任」を与える計画とし、「中国は、探求を奨励し、失敗を許容する革新を可能にする環境づくりに努める」と述べた。 もっと見る

バイオ製造、量子技術、エンボディドAI(身体性を持つAI)、第6世代移動通信システム(6G)技術など「未来の産業」を育成する方針も示した。

仮想現実(VR)、高度コンピューティング、オープンソースの半導体設計「RISC─V(リスクファイブ)」において発展の推進を目指し、資金援助を増やし、ベンチャーキャピタル投資の成長を促すとした。 もっと見る

ザン氏は、報告書が「効果的な投資」と強調しているのは、半導体で見られた大規模な国家介入からの脱却、自立に関する当局の姿勢軟化を示唆すると指摘。「当局は、全ての分野で自給自足を達成することは非現実的かもしれないと認識し、既存の地位を守ることよりも将来の技術開発を主導することに重点を置いているようだ」と述べた。

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Casey has reported on China’s consumer culture from her base in Shanghai for more than a decade, covering what Chinese consumers are buying, and the broader social and economic trends driving those consumption trends. The Australian-born journalist has lived in China since 2007.