道が作成したギャンブル依存症の事例集 道は、ギャンブル依存症患者の症状や治療方針をまとめた事例集を初めて作成した。市町村などにギャンブル依存症対策で役立ててもらうのが目的。実態を具体的に示すことで、住民から相談を受けた際に兆候を把握し、専門医療機関などへ受診を促す狙いもある。
道内でギャンブル依存症が理由の精神外来患者数は、2019年度が199人と5年間で倍増。市町村などに寄せられたギャンブルに関する相談も851件に上った。 18年に施行されたギャンブル等依存症対策基本法は、都道府県に推進計画の策定を努力義務としている。道は23年3月にまとめた第2期計画に基づき、医療関係者の研修や市民向けセミナーなどを行っている。 事例集は、精神科医らが作成に協力し、患者11人の症状や治療経過のほか、家庭環境や進学・就職の状況、家族構成まで詳しく紹介。「数百万円の借金を抱え自殺未遂をした」「オンライン競馬がやめられず会社の金を横領した」といった生々しい証言もある。具体例を示すのは、行政機関の担当者が相談を受けた場合、安易に「お金のトラブル」と判断せず、適切に相談に応じたり、専門医やプログラムを持つ医療機関を紹介したりするためという。 事例集にはまた、専門医療機関のリストや相談窓口、当事者や家族らでつくる自助グループの連絡先なども掲載している。 作成に携わり、旭山病院(札幌市)などで依存症患者の治療にあたる田辺等医師は「スマートフォンで手軽にできてしまうオンラインのギャンブルが普及し、依存症は深刻さを増している。行政機関などが精神保健の問題と捉え、的確に判断するための材料になれば」と話している。