ロマンス詐欺の被害金を回収するとうたい、広告会社に弁護士名義を貸して法律事務をさせた疑いが強まったとして、大阪地検特捜部は、「G&C債権回収法律事務所」(大阪市北区)の川口正輝弁護士(38)らについて、弁護士法違反容疑で刑事責任を追及する方針を固めた。 川口弁護士を巡っては、大阪弁護士会が昨年12月、同法違反の疑いがあるとして懲戒請求したと公表。同会の相談を受け、特捜部が今年2月に法律事務所などを捜索していた。

 関係者によると、川口弁護士は2022年以降、広告会社代表らに弁護士名義を貸し、複数の詐欺被害者の相談に対応させた疑いが持たれている。 弁護士法は、弁護士が名義を無資格者に貸す「非弁提携」、弁護士資格がないのに報酬目的で法律事務を行う「非弁活動」を禁じている。詐欺の被害金回収は法律事務にあたる。 川口弁護士は、恋愛感情を抱かせて金をだまし取るロマンス詐欺の被害金回収を請け負う専用サイトを開設し、被害者からの相談を電話やLINEで募っていた。実際の相談対応は、広告会社から派遣されて関東地方で勤務する事務員が担い、川口弁護士は被害者に面談や十分な説明などをしていなかったとされる。 大阪弁護士会の調査に対し、川口弁護士が提出した依頼者のリストでは、22年8月~23年11月に約1800人から依頼を受け、着手金は1件あたり20万~300万円で総額が9億円を超えた。川口弁護士は「着手金の大半は広告会社に渡していた」と述べ、被害金を回収できたのは10人程度だったと明かしたという。 川口弁護士は今年2月、読売新聞の取材に「(大阪弁護士会の懲戒請求には)異論がある。(非弁提携について)否定している」と述べていた。 ロマンス詐欺は、外国人になりすました相手とSNSなどで連絡し、一度も会わないままだまされるケースが多いため、実際に被害金を回収できる確率は極めて低く、弁護士に着手金を支払ったのに被害金が戻らない「二次被害」が問題化している。