モチーフとなったヒトデのフィギュア(手前)と比較し展示された怪獣人形(10日、福岡市東区のマリンワールド海の中道で)=佐伯文人撮影モチーフとなったヒトデのフィギュア(手前)と比較し展示された怪獣人形(10日、福岡市東区のマリンワールド海の中道で)=佐伯文人撮影 福岡市東区の水族館「マリンワールド海の中道」で、特撮に登場する怪獣とモデルになった海の生き物などを比較するユニークな企画展が人気を集めている。展示されているのは怪獣のソフトビニール人形約1700点。全て学芸員の大西拓さん(55)の個人コレクションだ。大西さんは「怪獣を通して生き物を深く知ってほしい」と期待している。(中尾健)

 同展のコーナーには今月、親子連れや特撮ファンらが次々と立ち寄っていた。「私は水族館の学芸員なんですが、ここにある人形は全部、私の私物なんですよ」と大西さんが声をかけると、友人と訪れていた福岡県宗像市の女性会社員(28)は驚いた様子を見せた。 女性は「多くの怪獣は生き物がモチーフなんですね。今まで怪獣の細かい部分に注目したことはなかったので、新しい発見ができました」と笑顔を見せた。 大西さんが、特撮のウルトラマンなどに登場する人形の収集に力を入れ始めたのは約25年前。同じ怪獣の人形でも、作られた年代や工場の違いでデザインや色などが異なる点に面白さを感じ、買い集めるようになった。所有する人形は現在、約5000点に上るという。 自身のコレクションを用い、水族館で企画展を開くのが夢だった大西さん。数年前から上司に提案していたが、当初は「怪獣と水族館は関係ないだろう」と素っ気なかった。そこで大西さんは、怪獣たちのモデルが実在の生き物である点に着目し、「怪獣と生き物の特徴や生態を比べられる企画展なら、水族館でも開けるのでは」と説得。上司らも次第に興味を示してくれたという。同館の中村雅之館長は「最初はエッと思ったが、(大西さんの)熱意がお客さんに伝わる面白い企画展になった」と話す。 会場のレイアウトも大西さんが考案。展示した人形の前には、ヒトデやセイウチ、ペンギンなど怪獣のモデルになったとされる生き物のフィギュアを置いた。また、体中が突起で覆われている「ガラモン」の隣にはカサゴを入れた水槽を設置し、実際に生き物が泳いでいる姿も見られるようにした。エイのフィギュアと、エイをモチーフにした怪獣人形の展示準備を行う学芸員の大西拓さん(10日、福岡市東区のマリンワールド海の中道で)エイのフィギュアと、エイをモチーフにした怪獣人形の展示準備を行う学芸員の大西拓さん(10日、福岡市東区のマリンワールド海の中道で) 海の生き物が持つ角、ハサミなどの特徴や役割を紹介するコーナーには、同じ特徴を持つ怪獣たちを並べた。尾びれの紹介では、あえて人形たちを後ろ向きに並べ、怪獣にはトゲトゲやドリル状など様々な尾があることを示した。 今年1~3月に平成・令和の怪獣約1300点を紹介し、現在は昭和の怪獣を展示している。連日、多くの人が訪れており、来館者が企画展の感想を書き込んだSNS投稿の中には、200万回近く閲覧されたものもある。 大西さんは「生き物の姿や形には理由がある。怪獣との共通点を探して、より生き物に興味を持ってもらえるとうれしい」と話している。 企画展は6月2日まで。入館時間は午前9時半~午後5時半。問い合わせは同館(092・603・0400)へ。

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