書店経営 藤野千尋さん 29 6畳の和室には、絵本や小説、エッセー、食やお金に関する本など、多彩なジャンルの約700冊が並ぶ。福岡県那珂川市の藤野千尋さん(29)が自宅の一室で開いている「本屋くるり」。庭に面した大きな窓からは暖かな日差しが入り込み、ゆったりとした時間が流れている。「お客さんにはじっくりと選んでほしいですね」と藤野さんが目を細めた。
「本屋くるり」でおすすめの本を手にする藤野さん 長崎県で生まれ育ち、埼玉県の大学を卒業後、イベント運営などを行う東京都内の会社に就職した。自然が好きで、休日にはよく友人らとレンタカーを借りて遠出し、山や川、海で過ごした。中高生の頃に買い物などで訪れた福岡は自然も豊かで、長崎から近いこともあり、いつしか「住みたい」と考える場所になっていった。
移住のきっかけとなったのは、新型コロナウイルスの感染拡大だ。人と会えなくてもオンラインでつながる機会が増え、友人がたくさんいる東京を離れるハードルが下がった。「行くなら今だ」と心が決まった。 地域活性化に携わりたいと、地域おこし協力隊の仕事を探していると、那珂川市南畑地区の絵画や陶芸、染め物といったアトリエを巡るイベント「南畑美術散歩」が紹介されているのが目に留まった。「これまでのイベント運営の経験を生かせるかもしれない」。福岡市内へ移動しやすいことにも魅力を感じ、2020年7月に赴任した。 初めて訪れた那珂川市では、地域住民は温かく、あいさつ回りに行くと野菜をくれた。移住者が多く、「活気のある場所」と感じた。ただ、驚いたことに、市内に書店が一軒もなかった。
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