図鑑を手に「帰化植物のことをまずは知ってほしい」と話す南さん図鑑を手に「帰化植物のことをまずは知ってほしい」と話す南さん 海外から持ち込まれて山口県内などに定着し、生態系への影響が懸念される「帰化植物」を紹介する「山口・琉球等帰化植物図鑑」第3巻を、山口植物学会が出版した。会員たちが山野などを探索して新たに発見した141種を掲載。既刊分と合わせて1000種超の確認が可能になった。同会は「対比して考えることで、古里に自生する在来種を守る心を育むきっかけになればうれしい」と期待している。(河村輝樹)

 帰化植物は、きれいな花を咲かせる種類もあるが、その地域で昔から生えている在来種を消滅させかねないおそれもあるという。同会は、県内でも急速に繁殖を続ける帰化植物に着目し、調査活動を続けている。 今回の図鑑は、2017、20年に続く刊行となる。会長で、監修した元高校教諭の南敦さん(91)(光市中央)ら7人の会員が現地調査、撮影、解説文の執筆を担った。 昨年9月中旬に光市内で確認されたのは、紫紅色の花が特徴で、中国原産のマメ科のアカバナメドハギ。道路ののり面に数本が生えているのが見つかった。 南さんによると、道路建設が進んだ高度経済成長期を契機に、帰化植物が増加した。のり面に緑化を施す際に、外来植物の種が交ざった土を吹き付けたため、これらが繁殖した可能性が高いという。 「通常は9月に咲くはずの彼岸花を、お盆時期に見かけることがあるが、なぜか」など、一般の人からの疑問に答える形でも、該当の植物を紹介した。南アフリカ原産で8月中旬に開花するヒガンバナ科のネリネという外来の植物で、日本には大正時代末期に入り、「ダイヤモンドリリー」の別名で市販されているという。 近年では、園芸や家庭菜園で使われる培養土に外来植物の種や苗が混入しているケースもあるという。不要になった培養土が林野に捨てられて帰化植物となり、在来種の植生を脅かしていると考えられている。 南さんは「帰化植物が増える一方で、和歌や俳句で詠まれるなどして日本文化を象徴する草花が失われつつある。図鑑をみてもらうことで、その事態に警鐘を鳴らしたい」と話している。 地球温暖化に伴い、沖縄県に定着した帰化植物が本土で繁殖するという観点から、沖縄の植物についても掲載している。 A5判、95ページ。2200円。約300部を作り、一部は県立山口博物館などに寄贈した。光市内の書店で販売しているほか、送料別でファクスでも注文を受け付ける。問い合わせは同会(0833・71・3235、ファクス兼用)へ。

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