かつて炭坑で栄えた長崎市の離島・高島で、ブリ養殖の一大拠点を整備するプロジェクトが進められている。長崎大を中心に産官学が連携し、卵から成魚まで「完全養殖」のブランド魚として海外輸出を目指す。過疎化が深刻な島で雇用や学びの場を創出し、地域の活性化にもつなげたい考えだ。(後藤茜)
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廃止施設を活用
施設内の水槽を泳ぐブリの稚魚(10日、長崎市・高島で)
長崎港から南西約15キロの五島灘に浮かぶ高島。今月10日、同大の研究施設「ながさき
BLUE(ブルー)
エコノミー高島水産研究所」では、体長約15センチのブリの稚魚が円形の水槽を泳ぎ回っていた。プロジェクトリーダーの
征矢野(そやの)
清教授は「元気に泳ぎ、順調に育っている」と目を細めた。
ながさきBLUEエコノミーは、同大や長崎県、地元企業、水産業者などが連携し、完全養殖ブリの一大生産地をつくるプロジェクトだ。研究施設は、老朽化で2021年に廃止された旧長崎市水産センター高島事業所の建物を借りて改修し、今年1月に開設した。 国立研究開発法人「水産研究・教育機構」の水産技術研究所五島庁舎(長崎県五島市)から3月に輸送された稚魚2000匹を、地下からくみ上げた海水で飼育している。日照時間や水温を調整し、成魚になった後の産卵時期をずらす試験などに取り組んでいる。
征矢野教授(10日午前11時7分、長崎市・高島で) 既存のポンプでくみ上げられる水量が限られるため、現在は一部の水槽しか稼働していないが、今後、複数の井戸を掘り、規模を拡大する。沖合にロボットを活用した養殖システムも構築し、26年度をめどに採卵から成魚の飼育まで一貫して行う体制を確立するという。優れた水質
高島では1869年、英国商人トーマス・グラバーらが投資し、蒸気機関を使った日本初の洋式
立坑(たてこう)
「
北渓井坑(ほっけいせいこう)
」が開坑。その後も炭坑開発が続き、1986年の閉山まで100年以上にわたって日本の石炭産業を支えた。約2・5キロ南西の端島(通称・軍艦島)とともに、炭坑跡は世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」に登録されている。
長崎市の廃止施設を活用し、高島に整備されたブリ養殖の研究施設 周囲6・4キロの小さな島で、ピーク時の68年には約1万8000人が暮らしていたが、閉山後は激減し、今は250人余りに。地元では新たな産業振興が長年の課題となっている。 こうした中、長崎大は、既存の施設を活用できる利点に加え、魚の飼育環境にメリットがあることから高島に着目した。 1 2
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