30年以上前のバブル期に、IT関連企業を誘致するために熊本県が買収した同県高森町の「阿蘇ソフトの村」用地について、県は投資額の約38分の1の価格で譲渡する公募を始めた。分譲を目指していたが、台湾積体電路製造(TSMC)の進出に伴う需要を期待し、一括で売却する方針に転換した。長年塩漬けだった土地の行方が注目される。(内村大作)

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「阿蘇ソフトの村」の用地となっている山林付近「阿蘇ソフトの村」の用地となっている山林付近 高森町役場から北東に車で約10分。国道265号から町道を進み、阿蘇五岳の根子岳の麓にある上色見地区に広がる山林が、公募している用地だ。広さ18・8ヘクタール。ほぼ未造成で、斜面に木々が生い茂る。県が投じた約4億7900万円に対し、譲渡予定価格は約1249万円としている。

 当初の計画は細川護煕元首相の知事時代まで遡る。1987年度、民間の開発計画とも連動した「高森インテリジェントバレー構想」に基づいて策定された。90、91年に19・2ヘクタールを約2億3800万円で買収したが、間もなくバブル経済が崩壊。見込んだソフトウェア企業の進出は立ち消えになった。 計画した26・4ヘクタールの買収は完了せず、残った民有地で用地は虫食い状態になった。起債償還に伴う利子負担は約1億3200万円に上り、事務費なども含めると投資額は約4億7900万円に膨らんだ。 オフィス用地のほか、保養所も対象に加えて企業とも交渉したが、成約には至らなかった。2001年度の包括外部監査では「事業計画が安易」「ソフト開発企業に適しているとは思えない立地」と指摘された。12年度も「土地の有効活用や処分を進める必要がある」とされた。 1 2

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