八代盆地に渡来した昨シーズン最初のナベヅル(昨年11月9日撮影)八代盆地に渡来した昨シーズン最初のナベヅル(昨年11月9日撮影) 周南市・八代盆地に越冬のために渡来するナベヅルが昨シーズンは5年ぶりに1桁台に落ち込み、過去3番目に少ない7羽だった。原因はわからず関係者の模索が続く一方で、渡来数の回復に向けた長年の取り組みから、今後につながる成果も少しずつ見えてきた。

今季は7羽 「もう少し抜本的な解決策に取り組まないと、回復していかないのではないか」 周南市役所で3月下旬に開かれた、専門家や住民団体、行政担当者でつくる市ツル保護協議会(会長・藤井律子市長)で、オンラインで参加した公益財団法人・山階鳥類研究所(千葉県)の尾崎清明副所長(72)が表情を曇らせた。越冬地の環境整備を担う住民からは「ツルが見られず、観察に訪れた人から不満の声が上がっていた」「近隣の渡来地の情報もほしい」といった意見も寄せられた。 八代盆地には昨年11月9日、第1陣の4羽が渡来。3日後には別の1羽が加わったものの、同13日に3羽の行方がわからなくなった。その後、2度にわたり計5羽が渡来し、3月22日には全てが北帰行のため飛び立った。結局、越冬したツルは11月に姿を消した3羽を除く7羽で、前シーズンより6羽少なかった。最多は355羽 市によると、八代盆地のツルの渡来数は記録が残る1940年の355羽が最多とされる。毎年統計を取り始めた47年から70年代は68~200羽で推移した。 ツルの越冬環境を整備する活動は、地元有志の保護団体「八代のツルを愛する会」が85年に設立されたことを契機に本格化した。ねぐらの田んぼに外敵が近寄りにくくするため、住民らが雑草を伐採。餌場は市が整え、餌になる米は会員が栽培している。98年には仲間が飛来していると思わせるツル形のデコイ(模型)の設置も始まった。 しかし、越冬するツルは90年代から著しく減り、2006年以降は10羽未満のシーズンも続くようになった。21年は28羽だったが、その後は再び減少に転じた。尾崎副所長は「1か所にとどまらず、ほかの越冬地間を行き来していることも考えられる」と推察する。 1 2 3

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