創業以来、五平餅を焼き続けた長尾美佐子さん(岐阜県恵那市で) 2018年4~9月に放送されたNHK連続テレビ小説「半分、青い。」のロケ地として全国からファンが訪れた岐阜県恵那市岩村町。その町並みの一角にあり、ドラマに登場する食堂のモデルになった五平餅の店「みはら」が12日に閉店する。名残を惜しむ常連や観光客が店に足を運んでいる。(川口武博)
人気の五平餅定食
「半分、青い。」は岐阜と東京を舞台に、永野芽郁さん演じる主人公・
楡野(にれの)鈴愛(すずめ)
が幼なじみとともに一大発明を成し遂げる物語。みはらのある岩村町本通りは国重要伝統的建造物群保存地区で、ドラマでは鈴愛の生まれ育った「ふくろう商店街」として古い町並みが映し出された。
焼き上がりを待つ多くの客でにぎわう「みはら」 鈴愛の師匠の漫画家(豊川悦司さん)が五平餅を食べて「うんま!」と絶賛するシーンもあり、瞬く間に五平餅がブームになった。店にも大勢の客が詰めかけ、店主の長尾美佐子さん(80)は「予約の注文が殺到し、本当に忙しかった」と振り返る。 亡き夫の勧めで1980年に創業した店は1坪半ほど。2008年に一度は火災で焼失したが、同年に数十メートル離れた現在の場所に移り、店内で飲食できる食堂にした。五平餅はわらじ形で、味付けはごまだれ、ねぎみその2種類。夫にも協力してもらい、試行錯誤の末、秘伝の味に仕上げた。 店頭で注文を受けると、すり鉢のたれを餅にすり込み、慣れた手さばきで焼き上げる。「ドラマの撮影前にはスタッフや監督さんが五平餅を食べ、作り方なども説明した」と懐かしみ、「ドラマで五平餅を取り上げ、広めてもらった。北海道や沖縄の人にも知ってもらえた」と恩を感じている。 ◇ 近年はコロナ禍で完全休業する経験もした。客足は少しずつ戻ってきたが、営業の現状や年齢を考えると続けるのは難しいと判断せざるを得なかった。今春、閉店を告知した。 同市明智町の自宅で翌日の仕込みをこなし、車で店に通う日々。「『寂しい』との声を聞くとありがたいなと思う。コロナがなければ、もう少し続けたかな」と複雑な思いを抱きつつ、「体力も必要で、事業主は大変」と本音も明かした。 ◇ 五平餅2本に吸い物、ほうれん草のあえ物などがついた定食(800円)が人気で、焼きそばやお好み焼きもある。庶民の味が楽しめるのもあとわずか。香ばしいかおりに誘われ、大型連休中も客足は絶えなかった。 創業44年。「地元のごひいきで商売ができた。今もドラマのファンが訪ねてくれて本当に感謝している」と語る長尾さん。何よりも「色々な人と親しくなれた」のがうれしかった。多くの思い出を胸に、最後の日まで焼き台に立つ。
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