バッタの仮装をした姿と、網を持つという奇抜な表紙を覚えている人も多いはずだ。あのバッタ博士が、一回りも二回りも大きくなり、続編をひっさげて帰ってきた。

『生き物の「居場所」はどう決まるか 攻める、逃げる、生き残るためのすごい知恵』大崎直太著

 「新書大賞2018」を受賞した前作『バッタを倒しにアフリカへ』は、若手時代の「陰の苦労の話」だった。昆虫学者を目指しても職に就けず、2011年から西アフリカのモーリタニアでサバクトビバッタの生態の研究を始めた。論文データの苦労話のほか、異国の風習や仲間との交流の過程を軽妙に描くなど、まさに「異世界転生」の主人公が夢を追いかける作品としてベストセラーに。「あんなに売れるなんて、不意打ちでした」と笑いながらも、研究に充てる資金を得た。 今作は、別々の群れで生活するサバクトビバッタの雄と雌が、日中に合流して夜間に集団産卵することを解明するまでの道のりを描く。サバクトビバッタの大発生は食糧危機につながる恐れがある。この研究成果は効率的な防除技術の開発を進めることが期待され、日本学術振興会賞などを受賞した。「苦労が報われた続編になってよかった。一生懸命やれば、世界的な問題を解決できる。若手研究者や子どもたちに夢をかなえた道筋を見てもらい、何かの役に立ててくれたらうれしい」「夢のかなえ方」役立てて コロナ禍やトラブル、現地での友情物語のほか、研究のため渡った米国やモロッコ、フランスなどで多くの人に助けられた経験も記され、昆虫研究に関心がない人にも手に取りやすく書いたという。教科書では教えてくれない、夢のかなえ方、異文化交流の心持ちと実践を教えてくれる。 昆虫学者になる夢がかなった今、新たな夢は。「バッタのカップリングは解明したので、次は自分の結婚相手を見つけることです」。幸せ探しの途上だという。(光文社新書、1650円)道下航