人気キャラ・黒澤武蔵を演じた「おっさんずラブ―リターンズ―」。DVD&ブルーレイが7月3日に発売。衣装などを展示する企画展も東京で開催中だ=テレビ朝日提供人気キャラ・黒澤武蔵を演じた「おっさんずラブ―リターンズ―」。DVD&ブルーレイが7月3日に発売。衣装などを展示する企画展も東京で開催中だ=テレビ朝日提供 40代にして演劇界では確固たる地位を築いたが、映像で活躍するのは50歳を過ぎてから。実は「やってみたい気持ちは山盛りだった」と隠していた本心を明かす。

 その思いが噴出したのが、24歳も年下の小栗旬が初監督した映画「シュアリー・サムデイ」(2010年)。蜷川幸雄演出「お気に召すまま」(04年)で共演し、せりふ術を教えるうちに親しくなった。映像へのオファーがないとこぼすと小栗が「じゃあ、俺が使うよ」と誘ってくれた。 演じたのはヤクザの組長。小栗監督から「大きな芝居をしなくていい」と言われたが、そうはいかない。最終的には「鋼太郎さんのでっかい芝居が合っていた」と言ってくれた。舞台も映像もさほど変わらないと思えた。「意外とかっこいいじゃん、俺」。モニターに映る自身の姿が新鮮だった。 大ヒットしたドラマ「半沢直樹」(13年)とNHK連続テレビ小説「花子とアン」(14年)で知名度は一躍、全国区に。特に手応えを感じたのは「MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~」(14年)。セキュリティー会社役員の右腕で、汚れ仕事を一手に引き受ける男を演じた。怪しげな笑みを浮かべながらの行動は、エキセントリックで残虐非道。シェークスピア劇でも数々の悪役を演じてきたが、「現実にいるかもしれない悪い人」は初めてだった。「極悪さとリアルさをうまい具合にミックスしながらやることの楽しさがあった」 そして、社会現象にまでなったドラマ「おっさんずラブ」(16年~)では、田中圭が演じるかわいい男性部下にキュンキュンする上司を演じた。当初は出演するか悩んだというが、「完全に田中圭を好きになろうと。芝居の基本だよね」と、「好き」という思いを充満させて撮影に挑んだ。 現在、連続ドラマが放送中で、6月に映画版も公開される「おいハンサム!!」は、3人娘へ大切に思うことをかっこよく伝える父親役。そして現実の家庭でも、3歳のまな娘に目を細めるパパだ。 娘は幼稚園新学期の初日、おはようも言わず、朝食もとらず、新しい制服も見せてくれない。心を鬼にして怒ったという。これまでは甘々の父親だったが「娘の泣き顔は見たくない。でも、こうしていかないといけないんだと痛感した」。パパも日々、成長しているのだ。 「かっこいい人でいたいわけですよ。なるべく若作りをして」と笑う65歳。現役バリバリの色気全開で、舞台と映像、両輪の活躍は続く。(武田実沙子)(おわり)