がんの中でも治療が難しい
膵臓(すいぞう)
がんは、がん細胞を取り巻くように蓄積する大量のコラーゲンが抗がん剤の効き目を悪くしていることを確かめたと、岡山大や東京大、東北大などのチームが発表した。コラーゲンの蓄積を抑える薬剤を併用すれば、抗がん剤の治療効果を高められる可能性があるという。論文が国際科学誌に掲載された。
 膵臓がんは発見が難しい上、抗がん剤が効きにくく、国内では年間約4万人が亡くなっている。国立がん研究センターが1月に発表したデータによると、10年生存率は5・8%で、がん全体(53・5%)よりかなり低い。

 チームの狩野光伸・岡山大教授と田中啓祥・同大助教らは、膵臓がんの患者から採取した細胞を特殊な容器で培養し、コラーゲンを含む層状の組織を再現することに成功。このコラーゲンの層が抗がん剤などの透過を妨げていることを実験で確かめた。
 さらにコラーゲンの増加には「
ROCK(ロック)
2」というたんぱく質が関わっていることを突き止めた。ROCK2の量を減らす薬剤を加えると、コラーゲンの蓄積は4割程度に抑えられ、薬剤の透過率は約4倍に増えた。
 狩野教授は「ROCK2の働きを抑える薬剤と抗がん剤を組み合わせ、投与の仕方を工夫すれば、治療効果を高めつつ副作用も減らせるのでは」と話す。
 
国立がん研究センター中央病院の奥坂拓志・肝胆膵内科長の話
「コラーゲンに着目した膵臓がんの研究は世界中で行われているが、まだ確実な治療には結びついていない。今回の成果が治療の向上につながるよう、さらなる検証を期待したい」

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