諸般の事情ですっかりイベントレポートが遅れておりますが、ここからぼちぼち書いていきます。よろしくおつきあいください。☆ さて、9月には、12回目の「913祭」を開催した。「仮面ライダー555」に登場する仮面ライダーカイザ・草加雅人を演じた村上幸平さんを囲むイベントである。カイザに変身する際に、カイザフォンに入力するコードが「913」であることから、村上さんが「9月13日はカイザの日である」と訴え始めたのが20年近く前。その後、村上さんが一人で9月13日午後9時13分に「カイザコール」をツイッター(現X)などで実況していたのが、イベントという形になったのだ。そのようなごくごくプライベートなイベントだったのに、最近では公式にも「9月13日はカイザの日」という認識が浸透。さらに、今年は555の20周年という記念すべき年であったこともあり、この日にあわせて、来年2月に20周年記念映画が公開されることや、同作に登場するネクストカイザのビジュアルが発表されるなどした。熱唱する村上さん熱唱する村上さん913試験の賞状を持つ村上さん。TOはトップオタクの略です913試験の賞状を持つ村上さん。TOはトップオタクの略です

 声だしOKになった会場では冒頭からカイザコールが
炸裂(さくれつ)
し、熱気むんむんである。村上さんも汗だくになりながら、トレンチコートに変身ベルトという「草加フル装備」で登場した。
 20周年記念ということで今回、初めて実施したのは「カイザ試験」だ。カイザについての知識を20の難問で問うテストである。せりふの中の一部の言葉を問うものから、漫画版のカイザの巻末に登場したデザート名を問うものまで、難問ぞろいのこの試験。出題はもちろん、テスト用紙のプリントアウトから、筆記用具がない人のためのボールペンの用意まで村上さん自身が行って実施したのである。いや、正直、まさか本当にやるとは思いませんでした(笑)。しかもテスト時間は、村上さんが挿入歌「existence~KAIXA―nized dice」をナマで歌っている5分12秒。ファンの皆さんは、ステージは見たいわ、「トップオタク」にはなりたいわで、悲鳴を上げながら試験に取り組んでいた。バラをもって登場した井上先生バラをもって登場した井上先生
 ゲストも豪華だった。なんと、真っ赤な
薔薇(ばら)
の花束を背負って脚本家の井上敏樹さんが登場したのである。カイザを演じて以降、村上さんは井上さんになつき(という以外の表現が見つからない)、井上さんもまんざらでもないラブラブな様子がSNS上にはあふれており、ファンの間では2人の「仲」は周知の事実。とはいえ、目の前で「村上くんは芝居がうまくなった」とか「草加の魅力? そんなのここで言えないよ」などとニヤリと笑って言い放つ井上さんと、
艶然(えんぜん)
とほほ笑みながら寄り添う村上さんのいちゃつきぶり。さらには、2人で、結婚式でもないのになぜか突然ケーキカットをして、クリームをなめさせあう姿に、我々は一体何を見せられているのだろうと、司会をしながらぽかんとしてしまったが、まあこれも、特撮界最大の奇祭と呼ばれるこのイベントならではの珍事ということだろう。
ドラマのワンシーンを再現するお二人ドラマのワンシーンを再現するお二人ケーキを前にした二人ケーキを前にした二人 そして、いよいよ時刻は9時13分直前。「みんな、自分のカイザを探して!」と叫ぶ村上さんのリードで、場内のほぼ全員が手にした紫色のサイリウムを、番組で首を折られて絶命した草加のようにボキッと折る。そして、全員でカウントダウン、コロナ禍以降初の声だしでのカイザコールを叫んだ。ウエットティッシュを使ったコールもウエットティッシュを使ったコールも
 私の開催している
数多(あまた)
のイベントの中でも、913祭は「奇祭」とか「謎の秘密集会」と呼ばれることが多い。確かに奇祭である(断言)。有り体にいえば、ひねくれ者でストーカーで全くヒーローらしくない草加を愛し、9時13分のコールのために全力を傾けるファンが集まっている。だが、継続は力なり。今やこの奇祭は私的なイベントを超えて公式にも認知されるカイザ記念日となった。「推し」という言葉が生まれるはるか前から、カイザ、草加を愛してきたものたちのパワーを確信させる祭、それが913祭なのである。
 番組20周年という節目の年を越え、913祭はどう発展していくのだろうか。来年の9月が楽しみでもあり、恐ろしくもある(笑)。プロフィル
鈴木 美潮(
すずき・みしお

 読売新聞教育ネットワーク事務局専門委員。1989年入社。政治部、文化部、メディア局編集委員などを経て現職。日本テレビ「イブニングプレスdonna」(キャスター)「ラジかる!!」(コメンテーター)「PON!」(同)や、ラジオ日本「美潮シネマズ」などに出演。特撮ヒーロー(特に仮面ライダーとスーパー戦隊シリーズ)が大好きで特撮関係者を招いてのイベント「340(みしお)Presents」を2003年より主宰。著書に「昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたか」(集英社文庫)。また、美空ひばりさんの大ファンで、2021年は33回忌法要ツアーの司会を務めた。読響アンサンブルシリーズプレトーク司会も担当している。

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