1~3月に主演したテレビドラマ「おっさんずラブ―リターンズ―」も好評だった田中圭。その勢いのままに挑む舞台はアイルランドの奇才・エンダ・ウォルシュ作の不条理極まりないせりふ劇「Medicine メディスン」だ。(小間井藍子)
特に「薬」の話ではないが、タイトルの意味について「人生で気付いていなかったことに気付かされるきっかけという意味なのかな?って。まだ考え中」と語る=須藤菜々子撮影 「わけわかんない」。初めて台本を読み終えた時の正直な感想だ。でも、続けて感じたのは「(演出の)白井晃さんがいかにも好きそうな作品だなって。どんな舞台になるんだろうってワクワクしました」と無邪気な笑顔を浮かべる。
前衛的でかつ、社会からこぼれ落ちた人々に焦点をあてるウォルシュの作風は、演劇の本場英国で高く評価されている。白井は2018年に「バリーターク」、21年に「アーリントン」と、いずれも彼の作品を演出し、好評を博してきた。
今回の「メディスン」は21年に英で初演された新作。田中が演じるのは病院内とおぼしき部屋の中にいるパジャマ姿のジョン・ケインという男で、そこに高齢男性に
扮(ふん)
した女性(奈緒)と巨大なロブスターの着ぐるみを身にまとった女性(富山えり子)がやってくる。
舞台「Medicine」に主演する俳優の田中圭さん(10日、東京都世田谷区で)=須藤菜々子撮影 「『みんなと違う』という理由で施設に閉じ込められたジョンについて、女性2人が外に出してもいいか審査をしている。だけど、その2人自体がジョンの妄想という見方もできる作りが、面白い」。果たしてジョンは異常なのか。そもそも、人を正常と決定するものは何か。膨大な会話から重みのある問いかけがにじみ出す。 解釈を含め、全てを決めない白井の演出に、共感を覚えている。「難解なものを難解なまま、うっすらと輪郭だけ客席に提示する感じ」。実は、「おっさんずラブ」シリーズの軽妙なかけあいもほとんどがアドリブだったという。「その場で偶然生まれるものが絶対に面白いと思うタイプ」と自己分析する。 そんな田中が期待を寄せるのが、登場人物の一人としてクレジットされている「ドラム奏者」だ。担当する荒井康太は伊豆諸島の孤島、青ヶ島出身で地元の伝統太鼓の名手であり、カメルーンでドラミングを学んだという異色の経歴を持つ。「すごい迫力。芝居とドラムの化学反応を感じていけたら」 東京公演全44回の前売りチケットは発売早々に完売した。「ありがたいです!」と感謝する一方、「1日2回公演が週に3度ある。そんなスケジュールは初めてで不安だけど、みんなで頑張って乗り越えたい」とも。精神的にも体力的にもハードな公演だが、俳優・田中圭の新境地が見られるのは間違いなさそうだ。 翻訳は小宮山智津子。5月6日から6月9日まで、東京・三軒茶屋のシアタートラム。(電)03・5432・1515。
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