シドニー発のポップパンクバンド、Stand Atlanticが10月23日(金)に5thアルバム『GODBREATH』をVirgin Music Groupからリリースした。先行シングル「Velcro」「LUCID」に続き、9月25日には“選んだ家族”=仲間たちに捧げたラブソング「NEXT2U」も公開。しかも今作は、なんと全曲をバンドのライブ・レコーディングで録り上げたというから驚きだ。完璧に整えられたサウンドがあふれる今、あえて“人間が鳴らす音”にこだわった理由とは? 2025年にはONE OK ROCKの北米ツアー、2026年3月にはオーストラリアツアーの全公演に帯同した彼女たち。今回はボーカル/ギターのBonnie Fraser、ベースのMiki Richの2人にオンラインで話を聞いた。バンドのルーツから新作の制作秘話までインタビュー! この記事を読んでアルバムを聴き込んでいただきたい。最高のポップパンク体験ができるぞ。

1番好きなバンドはELLEGARDEN!

ーまずは日本の読者に向けて、Stand Atlanticがどんなバンドなのか教えてください。結成のきっかけと、バンド名の由来も気になります。

Bonnie:みんないつもバンド名の由来を知りたがるんだけど、大した理由はないの(笑)。本格的に活動し始めたのは2015年か2016年頃かな。メンバーはみんな、シドニーのローカルなロック、オルタナ、ポップパンクのシーンで知り合ったんだ。Mikiとは、当時一緒に働いてたコールセンターで出会ったの!

ー仕事仲間だったんですね!

Bonnie:バンド名の由来は、先に謝っておくけどけっこう適当に名付けちゃったんだ。ある日、“Atlantic”って言葉のイメージがすごくいいなと思ったんだよね。最初は“Atlantic Falls”にしようとしたんだけど、エモすぎるしネガティブすぎるなって。じゃあ“Fall”の反対ってなんだろう、“Stand”かな?って。でも“Atlantic Stand”だと響きが変だったから、ひっくり返して“Stand Atlantic”に。……で、今はそれを後悔してる(笑)。

ーいやいや(笑)。いいバンド名ですし響きもカッコいいと思います。2人が10代の頃に夢中になったバンドを教えてください。

Miki:定番どころはみんな通ってると思う。blink-182、Good Charlotte、Simple Plan……少なくとも私はそうで、特にSum 41は大きかったな。あと、普段なかなか言う機会がないから嬉しいんだけど、俺にとって大きいのはELLEGARDEN! 日本のバンドで、小さい頃から大好きで、今でも1番好きなバンドなんだ。あとはEminemみたいなラップもよく聴いてたよ。

Bonnie:私が最初にチェックしたCDは、Eminemの『The Eminem Show』とAvril Lavigneの『Let Go』の2枚。それが私の音楽的なルーツのすべて! (笑)。Mikiが言ったみたいにblink-182、Green Day、Sum 41、Good Charlotteも全部聴いてたけど、高校に入る頃にはヘヴィな音楽にどっぷりで。Parkway Drive、当時のBring Me The Horizon、オーストラリアのI Killed The Prom Queen、それにKoЯnやSystem Of A Down、Slipknotも。だから私たち2人で、ほぼどんなジャンルもカバーできちゃうんだよね。どのジャンルにも、必ず好きなものがあるの。

Bonnie Fraser(Vo / Gt)

Miki Rich(Ba)

ーMikiさんが初めて買ったCDと初めて行ったのはどのバンドのライブでしたか?

Miki:たしか、Simple Planの『No Pads, No Helmets…Just Balls』だったと思う。でも、なぜかセサミストリートのCDを買った記憶もあるんだよね(笑)。初めてのライブはGood Charlotteだった!

Bonnie:私は、たぶん初ライブもAvril Lavigne。それより前のことは何も思い出せないから、そういうことにしておく(笑)。

ーサウンドからは2000年代のポップパンクへの愛を強く感じますが、やはり大きな影響を受けているのでしょうか?

Bonnie:もちろん! blink-182やGreen Day、Sum 41、Good Charlotteを聴いて育ってきたから、それはいつだって、私たちのベースにあるよ。私はヘヴィな音楽にどっぷりハマっていた時期から抜け出す頃に、The Story So Farみたいな新しい世代のポップパンクや、New Found Glory、Fall Out Boyを聴くようになって。だから、ポップパンクはずっとStand AtlanticのDNAの一部であり続けると思う。

Miki:付け加えると、初期の作品は特にその影響が色濃かったと思う。でも成長するにつれていろんな影響を受けて、サウンドがヘヴィになったりポップになったりもする。それでもボン(Bonnie)が言ったように、どの作品にも最初に影響を受けたもののDNAは聴こえるはず。それはずっとそこにあるんだよ。

ONE OK ROCKとは“ベストフレンド・バンド”

ー2026年3月には、ONE OK ROCKのオーストラリアツアー全公演に帯同しました。彼らとの繋がりはどのように生まれたんですか?

Bonnie:アメリカで一緒にツアーを回ったのがきっかけで、そこからベストフレンド・バンドみたいな関係になって、少なくとも週に1回は連絡を取り合ってるくらい。メンバーだけじゃなくて、クルーの人たちともね。2025年にもまたアメリカツアーを一緒に回って、その流れで「オーストラリアにも行くよ」って言われて「一緒に回りたい!」って。考えてみたら私たちはオーストラリア出身なのに、地元で一緒にツアーしたことがなかったんだよね。それに、オーストラリアでサポートアクトをやるのは7、8年ぶり。友達と一緒に回れて、本当に楽しかった!

また“バンド”に戻れた気がした

ーでは、ニューアルバム『GODBREATH』について。どんな作品になりましたか?

Bonnie:これが5枚目のアルバムだなんて信じられないよ。今のオルタナやロックの世界には、プロダクションがすごく似通ってるアーティストが多いと感じてて。みんな同じようなサンプルを使って、何もかもが完璧に整えられてる。AIが入ってきた今は、なおさら完璧になってるよね。だから今回は、曲作りの段階から自分たちのルーツに立ち返ることを意識したんだ。ソングライティングも前作とはまったく違う、もっと生々しいものになって。書き進めるうちに、曲が1番輝くのはバンドでライブ録音することだって気づいたの。それで、アルバム全曲をライブ・トラッキングで録ったんだよ。

ーそうだったんですか! 現代ならではのフィジカルの力を強調したレコーディングだったんですね。

Bonnie:かなり野心的な挑戦だったけど、すごく楽しかったし、ちゃんと形になって最高のサウンドになった! 言葉で説明するのは難しいけど、温かみというか、今までとは違うエネルギーがあるんだよね。人間がすべてを演奏してる、オーガニックな感じが出たと思う。それはバンドとして本当に誇りに思ってることだし、また“バンド”に戻れた気がしたんだ。あと、ラブソングがめちゃくちゃ入ってる(笑)。とにかく気分が上がるアルバムだよ。

Miki:もちろんちゃんとレコーディングしてるし、アルバムとしてしっかり作り込んでるから、聴いてすぐライブ感に気づくようなものじゃないよ。でも何度も聴き込むと、わかるはず。誰かが演奏を止めるのがちょっと早かったり、ギターの音を切るのが早かったり、小さなミスも全部入ってる。でもミスには聴こえないし、むしろそれが心地よさになって、愛おしさになるんだ。

ーアルバムの中で、作品全体を象徴している1曲を選ぶとしたら?

Bonnie:私は「Velcro」!

Miki:もしくは「NEXT2U」かな。

Bonnie:「Velcro」は、私たちがすごく不安だった時期の曲なんだ。ライブで録るってアイディアはあったけど、途中で「本当にできるのかな?」って怖くなって。それでLAに入って、アルバム全体に取りかかる前に、まず3曲だけ試しに録ってみることにしたの。それが「NEXT2U」「EDGE OF VEGAS」「Velcro」。全部うまくいって、その中で最初にミックスを聴いたのが「Velcro」だった。「これならいける。ライブで録っても大丈夫どころか、最高に聴こえる!」って。この曲が持つちょっとした輝きとエネルギーが、「よし、この方法で全速力で行こう」ってアルバムの残りを後押ししてくれた。だから特別な曲なんだよ。

Miki:俺もそう思う!

自分たちを受け入れてルーツに戻る

ーアルバム全体を貫くテーマやコンセプトはありますか?

Bonnie:ないね(笑)。もともとコンセプトアルバムを作るタイプのバンドじゃないし、私の書き方も、ただ自分の気持ちを歌ってるだけだから。でも書いてる間のテーマを挙げるなら、“受け入れること”かな。自分たちが何者なのかを受け入れる。私は自分が恋をしてることを受け入れて、ラブソングを書かなきゃいけなかった。じゃないと爆発しちゃいそうだったから(笑)。成長痛みたいなものはひと通り終わって、私たちはルーツに戻ってきたんだ。アルバムを貫く明確なテーマはないけど、全体のバイブスと今回のレコーディング方法が、アルバムをひとつにまとめる“接着剤”になってると思う。

Miki:あえてバイブスを言葉にするなら、“サンセット、オープンカー、窓は全開でラジオをオン”。それがこのアルバムだよ!

ー制作中に思い描いていた景色も、まさにそれですか?

Bonnie:そう、今Mikiが言ったことをずっと考えてた! わりと早い段階で、プロデューサーに全部の曲を「車で窓を開けて走ってるときみたいな感じにしたい」って説明してることに気づいて(笑)。ちゃんとその感じは捉えられたと思うな。

Miki:曲を書いてた頃、ボンはまだLAに住んでて、ルームメイトがオープンカーを持ってたんだよ。天気も良くて、毎日太陽の下でオープンカーに乗ってたから、たぶんそのまんま(笑)。

Bonnie:そうなの。私って本当にシンプルな人間だから(笑)。

ーサウンド面で、特にこだわったポイントは?

Bonnie:やっぱりライブ・トラッキングだね。ロックに人間らしいフィーリングを取り戻して、完璧すぎる状態から離れたかったんだ。これまではずっとメンバーが別々に録ってて、コロナ禍のときなんて全員が1人ずつスタジオに入って……。誰にも会わないまま、ある日いきなりアルバムが出来上がってる感じだったから、あれでよく作品になったなと思うよ(笑)。今回は、ある意味オールドスクールなやり方でアルバムを作れて、本当に最高だった!

一夜限りのセンセーションになりたいわけじゃない

ー最後に、バンドとしてのこれからの目標を教えてください。

Bonnie:みんなが幸せで健康で、これを楽しめてるうちは、やめる理由なんてないと思ってる。私たちは長期戦のつもりでやってるし、長い時間をかけてインパクトを残せるものを作りたい。一夜限りのセンセーションになりたいわけじゃないんだよね。

Miki:ボンが言ったこと全部に加えて言うと、私たちはアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパをもう10年近くツアーしてきたけど、世界にはまだ行けてない場所がたくさんある。日本のツアーは始めたばかりだし、シンガポールとかアジアの一部は回ったけど、南米はまだ。これまで根を張ってきた場所に加えて、日本やアジアで新しくスタートを切るような感覚で活動していけたら、すごくエキサイティングだと思う!

Bonnie:それに、私とMikiが買い物しなきゃいけない国もまだたくさんあるしね(笑)。

Miki:本当にそう(笑)。

INFORMATION

Stand Atlantic

『GODBREATH』
2026年10月23日(金)発表

https://www.instagram.com/standatlantic/
https://linktr.ee/standatlantic

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