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2026年10月24日、韓国・全北特別自治道茂朱郡の徳裕山国立公園で、GTWS(ゴールデン・トレイル・ワールド・シリーズ)のグランドファイナル「Muju Trail」女子レースが行われました。アイスランドのアンドレア・コルベインスドッティル Andrea KOLBEINSDÓTTIR (ISL/Salomon)が3時間19分56秒で優勝。5分49秒差の2位に入ったマダリナ・フロレア Madalina FLOREA (ROU/Scott)は、2025年に続く年間総合2連覇を決めました。
冷雨の中、男女別日開催の最終戦
今季のGTWSは妙高(日本)、金山嶺長城(中国)に続き、アジアで3戦連続の開催となりました。さらに韓国でのGTWS、そしてグランドファイナルの初開催となりました。コースは距離28.65km、累積標高2,313mで、GTWSのシリーズ史上でも屈指のテクニカルで厳しいコースで開催されました。優勝者には通常の200ptではなく300ptが与えられ、上り・下り・スプリントの3区間の上位にもボーナスが加わるため、1日で最大330ptを獲得できる設定でした。
今大会は女子を24日、男子を25日と別の日に分けて開催されます。24日は台風の影響による雨が続き、スタート地点の気温は12度台、湿度98%と伝えられました。午前5時に先行した一般の部の選手によって、路面はすでに荒れていました。
最初の下りで崩れた登坂型の先頭選手
スキー場脇の道から始まる最初の登りを主導したのは、キャロライン・キムタイ Caroline KIMUTAI (KEN/Salomon)でした。2.6km地点でフロレアに17秒、6.5km地点では24秒の差をつけて先頭を守ります。大会前の年間ランキングでフロレアに66pt差の2位につけていたキムタイにとって、逆転には優勝が前提でした。

雨で濡れた岩場と石段が続くテクニカルな下り Photo: GTWS/@KOASTALFOREST
局面が変わったのは、6.5kmから9kmにかけての最初のテクニカルな下りです。濡れた石段と落ち葉が続く区間でフロレアがキムタイを抜き、9km地点でトップに立ちました。キムタイはこの約2.5kmで1分34秒を失い、1分10秒差の3位に後退します。この下り区間の最速はベアトリーチェ・ビアンキ Beatrice BIANCHI (ITA/Salomon)の13分54秒で、2位のミリアム・モラレス・エルナンデス Miriam MORALES HERNÁNDEZ (MEX/Mexico Imparable)に1分51秒差をつけました。
二度目の白蓮寺への下りでコルベインスドッティルが前へ

白蓮寺の門を抜けて下るコルベインスドッティル Photo: GTWS/@KOASTALFOREST
6.5km地点で1分59秒差の5位だったコルベインスドッティルは、9km地点で4位に浮上し、続く2つ目の登りでフロレアに追いつきます。14.5km地点では両者の差は0.07秒でした。ライブ配信ではこの登りでフロレアが自ら道を譲る様子も伝えられました。
コースは同じ下りを二度通る設計で、二度目の白蓮寺への下りでコルベインスドッティルが抜け出しました。16.9km地点ではフロレアに35秒差。キムタイはこの下りでさらに約5分を失い、6位まで後退しました。この区間ではコルベインスドッティルが足を滑らせて転ぶなど、不安定な足元でのレースが続きます。しかしこの後のSprint区間(約1.1km)でコルベインスドッティルが3分49秒で制し、フロレアは1.2秒差と、コルベインスドッティルが優位にレースを進めます。

紅葉の中、Sprint区間の終点へ向かうフロレア Photo: GTWS/@KOASTALFOREST
最後の登りで決着
平坦区間でフロレアは差を詰め、21.2km地点では3.75秒差まで迫りました。しかし七峰へ向かう最後の登り(Climb区間)で、コルベインスドッティルは区間タイム32分24秒を記録し、フロレアより約2分45秒速く登ります。23.4km地点の差は2分48秒に広がり、最後の下りでさらに開きます。勝者となったコルベインスドッティルと2位でフィニッシュしたフロレアの差は5分49秒差となっていました。
3位争いは最後の下りまで続きました。25.6km地点ではマダリナ・アマリエイ Madalina AMARIEI (ROU/Kailas Fuga)とモラレスの差は0.3秒。最後の下りでモラレスが抜け出し、アマリエイに23秒差で3位に入りました。モラレスは今年1月のHong Kong 100の33kmでの優勝に続くアジアでの好成績となります。5位にはバルボラ・ブコヴィアン Barbora BUKOVJAN (CZE/Salomon)がアマリエイから19秒差で続いています。

白蓮寺の門を抜けるアマリエイ。最後の下りまで3位を争いました Photo: GTWS/@KOASTALFOREST
大会前の年間2位キムタイは8位、3位のルース・ムウィハキ・ギトンガ Ruth MWIHAKI GITONGA (KEN/Run2Gether On Trail)は7位でした。今季妙高で優勝し、金山嶺長城で2位だったハンナ・グレーバー Hanna GRÖBER (GER/Nike ACG)は、レース中に負傷し途中棄権しています。
勝者と年間王者の言葉

年間総合優勝のトロフィーを掲げるフロレア Photo: GTWS/@KOASTALFOREST
GTWS公式中継のフィニッシュインタビューで、コルベインスドッティルは、この朝「自分は勝てる」と言い聞かせていたと明かしました。テクニカルな路面は得意で、雨もむしろ歓迎だったといいます。来季については、100kmや100マイルに関心を持ちつつも、まずGTWSに集中する可能性が高いとし、OCC、さらにUTMBやウエスタンステイツにも言及しました。
フロレアは、これまでで最も厳しいレースだったと振り返りました。脚の感覚がなくなる場面もあったものの、気持ちが体を押し続けたと話しています。登りでコルベインスドッティルを先に行かせた場面について、体が応えないときは後ろの選手の邪魔をせず先に通す、それが自分のやり方だと説明しました。レースは一日だけのもので、それで自分を定義したくないとも語っています。
大会概要
大会名:Golden Trail World Series 2026 Grand Finale/Muju Trail 2026
日時:2026年10月24日(土)13:00スタート(現地時間)※男子は25日
会場:韓国・全北特別自治道茂朱郡 徳裕山国立公園(ムジュ徳裕山リゾート ジャンピングパーク発着)
コース:28.65km、累積標高2,313m(主催者発表)
区間計時:Downhill/Sprint/Climbの3区間で上位5人にボーナスポイント
女子リザルト

女子上位5人。左からアマリエイ、フロレア、コルベインスドッティル、モラレス、ブコヴィアン Photo: GTWS/@KOASTALFOREST
リザルト速報はこちら。
アンドレア・コルベインスドッティル Andrea KOLBEINSDÓTTIR (ISL/Salomon) 3:19:56
マダリナ・フロレア Madalina FLOREA (ROU/Scott) 3:25:46(+5:49)
ミリアム・モラレス・エルナンデス Miriam MORALES HERNÁNDEZ (MEX/Mexico Imparable) 3:29:12(+9:15)
マダリナ・アマリエイ Madalina AMARIEI (ROU/Kailas Fuga) 3:29:35(+9:39)
バルボラ・ブコヴィアン Barbora BUKOVJAN (CZE/Salomon) 3:29:54(+9:58)
テレス・ルブフ Theres LEBOEUF (SUI/Compressport) 3:32:57(+13:00)
ルース・ムウィハキ・ギトンガ Ruth MWIHAKI GITONGA (KEN/Run2Gether On Trail) 3:33:59(+14:03)
キャロライン・キムタイ Caroline KIMUTAI (KEN/Salomon) 3:36:06(+16:10)
ベアトリーチェ・ビアンキ Beatrice BIANCHI (ITA/Salomon) 3:36:33(+16:37)
マリー・ニヴェ Marie NIVET (FRA/Nike ACG) 3:40:15(+20:19)
区間計時(上位3人)
Downhill(6.5〜9km):ビアンキ 13:54、モラレス 15:45、アマリエイ 15:53(コルベインスドッティル4位、フロレア5位)
Sprint(17〜18.2km付近):コルベインスドッティル 3:49.0、フロレア 3:50.2、ニヴェ 3:51.5
Climb(21.2〜23.4km):ルブフ 32:17、コルベインスドッティル 32:24、ナイアラ・イリゴイエン Naiara IRIGOYEN (ESP/X-Bionic Integrity) 33:48 ※暫定
出典:公式計時 results.stopandgo.pro/GTWS大会前プレスリリース
DC Analyst Note
このレースの順位は、登りの強さだけでは決まりませんでした。6.5km地点で先頭だったキムタイは、二度の石段下りで合計6分以上を失い、最終的に優勝者から16分10秒遅れています。同じ下りを二度通らせるコース設計が、登坂型の選手に二度目の試練を課した形です。
一方で、コルベインスドッティルの勝利を「下りの勝利」と片付けるのは正確ではありません。Downhill区間では4位にとどまり、最も差をつけたのは最後のClimb区間でした。フロレアに約2分45秒をつけた登り、1.2秒差で制したSprint、二度目の下りでの抜け出し。路面と勾配の異なる局面すべてで上位にいたことが、GTWSが掲げた「万能性を試すコース」という狙いを、結果のうえで裏づけています。
男女を別日に分けた中継は、6位以下の選手の攻防まで映し出しました。区間ボーナスと合わせ、勝負所を分散させて見る側に物語を提供する設計は、GTWSが短距離レースの見せ方として磨いてきた方向性の延長にあります。
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