撮影:阿部健
“長野県から世界の100年先を考える”イベント「MeTA-Mirai(めたみらい)カンファレンス2026」(主催:長野県)が、2026年11月6日に長野市善光寺周辺エリアで開催される。
長野県内外の企業、起業家、研究者、投資家、クリエイターなど各分野のフロントランナーが顔をそろえる本イベントに先駆け、9月10日に記者会見と事前説明会が行われた。
「MeTA-Mirai(めたみらい)カンファレンス2026」詳細はこちら信州ITバレー構想、8年目の課題
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長野県は、ものづくり産業をはじめ観光業や農林業など、幅広い産業基盤を持つ。県は2019年から「信州ITバレー構想」を掲げ、テクノロジーと地域のポテンシャルを掛け合わせて新たな価値やイノベーションを生み出す取り組みを進めてきた。
長野県産業労働部 産業立地・IT振興課長の蔵之内真紀氏は、構想は8年目を迎え、IT事業者の集積といった成果が生まれる一方、課題も感じているという。
「広い県土の中で、関わるプレイヤーやエリアが固定化しつつありました。県内で新しい事業が次々と生まれ、広がるという点では、まだ十分とは言えません」(長野県庁・蔵之内氏)
さらなる発展に向けて、県内外の熱量ある人々と直接顔を合わせ、既存の枠を超えて未来を考える場をつくる——それが本カンファレンスの大きな目的だ。
今回のように複数拠点を回遊するAI・テクノロジー分野の大型カンファレンスは、長野県として初の挑戦となる。主催者は、リアルとオンラインを合わせて500名程度の参加を見込んでいるという。
コンセプトは「めた学ぶ」「めた繋がる」「めた豊かに」
特設サイトで、参加申し込みの受付がスタートしている。提供:MeTA-Mirai
MeTA-Miraiの「めた」とは、長野県の方言で「もっと」「どんどん」「すごい」「超」を意味する言葉だ。当日は「めた学ぶ」「めた繋がる」「めた豊かに」をコンセプトに、一日を通して多彩なプログラムが展開される。
記者会見に登壇した、インフォバーンの小林弘人氏。撮影:阿部健
信州ITバレー構想アンバサダーであり、長野県より企画・運営業務を受託するインフォバーン代表取締役会長・共同創業者の小林弘人氏は、「これまで交わることのなかった人たちの出会いを創出し、地域の産業や文化をどう未来につなげるかを語り合う場にしたい」と話す。
小林氏が念頭に置くのは、アメリカの「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」やベルリンの「TOA」といった海外のイノベーションカンファレンスだ。
「海外では、昼から飲食や音楽を交えながらイノベーター同士が対話し、商談が生まれる“会話型”のスタイルが主流です。
従来の日本型展示会のような堅い枠組みではなく、対話の中から新しいアイデアやネットワークが生まれる場を長野で実現したいと考えています」(インフォバーン・小林氏)
4つの会場を中心に、フェスのように歩く
セッションはすべて「AfterAI」を冠し、テーマは7つ。
『AIが社会OSとなる未来。長野から構想する「100年後の信州と世界」(仮)』をはじめとして、クリエイティブ、ウェルビーイング、ロボティクス、林業、農工業、教育と、産業から人生論まで幅広いテーマが並ぶ。
提供:MeTA-Mirai
なかでも注目したいのが、ロボティクスのセッションで扱う『フィジカルAIは、長野県の産業を加速させるか?』だ。
長野県には強固な製造業の基盤がある。ロボティクスとAIの結合が何をもたらすのか、地元事業者にとっても新しい刺激になりそうだ。
押井守監督がビデオ登壇。信州にゆかりのある人たちが集結
押井守監督は、11月20日に新作『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女〈ヘクセ〉』の公開を控えるなかでのビデオ登壇となる。提供:MeTA-Mirai
登壇者は、映画『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などで知られる映画監督の押井守氏(ビデオ登壇)を筆頭に、グッドパッチ代表取締役兼CEOの土屋尚史氏、死生観をひらく対話の場「Deathフェス」共同設立者でnanowa代表取締役社長の小野梨奈氏、日本ディープラーニング協会専務理事の岡田隆太朗氏らが名を連ねる。
また、特別企画「ヘンポジウム in 長野」には、「京大変人講座」を主宰する酒井敏氏(静岡県立大学 特任教授・副学長、京都大学名誉教授)を迎える。AI時代だからこそ、突き抜けた発想を持つ“変人”の知性と探求力が重要になる、という趣旨だ。
「AIが社会OSになりつつある時代、社会はどう変わっていくのか、私たちはどう生きていくべきか。刺激的なセッションを聞いて参加者同士で意見を交換し、アイデアのアウトプットまでつなげてほしい」(インフォバーン・小林氏)
小林氏は、「一見自分の事業とは無関係に思えるセッションにこそ価値がある」と強調する。
「テクノロジーの革新が続く『テクノロジースーパーサイクル』の時代には、AIを中心に宇宙、水道、医療、農業などあらゆる分野が結合していきます。
自分とは関係ないと思えるセッションにこそ、新しい閃きがあるはず。当日は、野外音楽フェスのように複数のコンテンツが同時に走るので、興味の向くままに会場を行き来してもらいたいです」(インフォバーン・小林氏)
長寿県・長野で「生きる」を考える意味
「生と死」を考える場として人が集まり続けてきた善光寺。その門前町で、AI時代の未来が語られる。Shutterstock
県で本イベントを担当している長野県庁の蔵之内氏が、企画を進めるなかで手応えを感じているのは“意外なテーマ”だという。
「反響が一番大きいのは、人生や死生観に踏み込んだ『ウェルビーイング』をテーマにしたセッションです。
『AI時代に人間はどうなってしまうんだろう』という不安がある中で、長野県という環境でこれからの生き方を考えることに大きな意味があると思っています」(長野県庁・蔵之内氏)
背景にあるのは、この土地の暮らしの形だ。
「長野県は『生きる』と『働く』が非常に近い地域です。普段の仕事やビジネスから一歩踏み込んで、産業と人生論が混ざり合う議論ができるのは、“長野ならでは”なのではないでしょうか」(長野県庁・蔵之内氏)
実際、長野県は要介護度をもとに算出される「健康寿命」で男女ともに全国1位の長寿県だ。また、今回のカンファレンスの中心となる善光寺の門前町は、信仰と商いが千年以上重なってきた場所でもあり、「生きる」と「働く」を語るにはこれ以上ない土俵だろう。
長野から、新しい挑戦を生み出す
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当日は、トークセッションのほか、県内企業やスタートアップによる先端ソリューション展示、体験型ワークショップ、カフェやコワーキングスペースと連携したサイドイベントなど、参加者同士の交流を促す仕掛けも用意されている。
現在、MeTA-Miraiでは協賛企業およびサイドイベント主催者を募集中だ。協賛メニューには、北野カルチュラルセンターでの展示ブース出展やセッションプロデュース枠などがある(申込期限:2026年10月5日(月)10時)。
サイドイベントは、当日のプログラムとは別に参加者自身が主催できる仕組みだ。「長野やMeTA-Miraiを盛り上げる」という趣旨に沿っていれば、交流会やワークショップ、サウナ、ランニング、禅体験、音楽ライブ、産業ツアーなど内容は自由。長野だからこその体験や出会いを楽しむことのできるアイデアを歓迎している。
9月10日に行われた事前説明会(長野市)の様子。県内外のさまざまなプレイヤーが集まり、期待を寄せた。撮影:阿部健
参加者としてはもちろん、仕掛ける側としても楽しめるカンファレンスMeTA-Miraiカンファレンス2026。蔵之内氏はこう締めくくった。
「多くの企業やIT人材が長野県に集まる一方で、新たな価値共創をいかに加速するかが課題となっています。
MeTA-Miraiを通じて共創の輪を大きく広げたい。ぜひ気軽に参加して、楽しんでもらえたら嬉しいです」(長野県庁・蔵之内氏)
「MeTA-Mirai(めたみらい)カンファレンス2026」開催概要
・日時:2026年11月6日(金)10:00〜20:00
・会場:長野県長野市 善光寺周辺エリア
善光寺 大勧進 紫雲閣(セッション会場)/北野文芸座(セッション会場)/北野カルチュラルセンター(展示会場)、Thesaurus(ワークショップ会場)
※周辺エリアでサイドイベントも開催予定
・形式:リアル・オンラインのハイブリッド開催
・参加費:無料(事前登録制)
・主催:長野県
・企画運営:株式会社インフォバーン
「MeTA-Mirai(めたみらい)カンファレンス2026」詳細はこちら参加申し込みはこちら(無料・オンライン配信あり)
※MeTA-Miraiの委託事業者に採択されているインフォバーンは、Business Insider Japanを運営するメディアジーンと同じTNLメディアジーンのグループ会社です。
