【更新】 激変するグローバル暗号資産規制──米・EU・日本・中国・ロシア各国の最新動向まとめ

暗号資産(仮想通貨)を巡る規制・法整備が、主要国・地域で相次いで進んでいる。ロシアでは9月1日、暗号資産を外国貿易の決済に利用する枠組みを含む新法の主要規定が施行された。米国では市場構造を定めるクラリティ法案の審議が続き、欧州連合(EU)は包括規制「MiCA」をすでに本格運用している。

一方、中国本土は暗号資産関連業務の禁止姿勢を維持するのに対し、香港ではステーブルコイン発行者の免許制度が始動した。ナイジェリアや南アフリカでも規制整備が進んでいる。

暗号資産を市場に取り込むのか、利用範囲を限定するのか、原則として禁止するのか。各国・地域で進む規制の内容と違いを整理する。

米国|クラリティ法案に加え、SECも暗号資産の新規則案

Bitcoin coins stacked in foreground with an American flag blurred in the background, conveying a cryptocurrency and USA themeBitcoin coins stacked in foreground with an American flag blurred in the background, conveying a cryptocurrency and USA theme

米国では、暗号資産市場を連邦レベルのルールの下に置く法整備が進んでいる。2025年7月には、決済用ステーブルコインの発行や準備資産などを定めた「GENIUS Act(ジーニアス法)」が成立した。ただし、法律はまだ施行されておらず、現在は施行に向けた下位規則の整備が進められている。

一方、暗号資産市場全体の構造を定める「Digital Asset Market Clarity Act(デジタル資産市場明確化法案、クラリティ法案)」は、デジタル資産の規制上の位置付けや、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の監督範囲などを明確にすることを目指している。2025年7月に下院を294対134で通過し、2026年5月14日には上院銀行委員会も15対9で承認した。

その後、8月8日にはJohn Thune(ジョン・スーン)上院多数党院内総務が、クラリティ法案の審議入り動議に対するクローチャー(討論終結)動議を提出した。

関連記事:クラリティ法案、9月15日に審議入り手続き採決可能に──米政府が日程公表

米上院の公式日程では、同動議は9月15日14時15分(米東部時間)に採決可能となる。可決されれば、法案の審議入りに向けた手続きが進む。

さらにSECは8月18日、暗号資産に関する特定の投資契約を対象とした新たな規則案「Regulation Crypto Assets」を公表した。規則案では、一定の条件を満たす募集について2種類の証券登録免除を設けるほか、暗号資産が「投資契約」の対象から外れるための条件付きセーフハーバーも盛り込んだ。

EU|MiCAは「制度づくり」から運用・見直しへ

EU flag with stars and a road sign reading 'Markets in Crypto-Assets Regulation (MiCA)'.,EU flag with stars and a road sign reading'Markets in Crypto-Assets Regulation (MiCA)'.,

欧州連合(EU)では、暗号資産市場規制法「Markets in Crypto-Assets Regulation(MiCA)」がすでに運用されている。MiCAは暗号資産の発行者やサービス事業者を対象に、情報開示や利用者保護、市場の不正行為などについてEU共通のルールを定めた包括規制だ。

MiCAは2023年に発効し、ステーブルコインに関する規定の先行適用を経て、2024年12月30日に全面適用された。既存の暗号資産サービス事業者には移行措置が設けられていたが、最長の期限も2026年7月1日に終了し、EUではMiCAの本格運用に入っている。

関連記事:MiCAの見直しを開始──世界の暗号資産規制環境の変化に対応

さらに欧州委員会は5月20日、MiCAが現在の市場や政策環境に適しているかを検証するため、制度見直しに向けた意見募集を開始した。運用状況や暗号資産市場の変化を踏まえ、必要な制度変更を検討するもので、意見募集は9月30日まで行われる。

中国本土・香港|禁止と規制下での活用に分かれる

China and Hong Kong flags shown side by side on red fabric.China and Hong Kong flags shown side by side on red fabric.

中国本土では、暗号資産関連業務を禁止する姿勢が続いている。中国人民銀行や中国証券監督管理委員会など8当局は2月6日、2021年の通知を置き換える新たな通知を公表し、暗号資産や現実資産(RWA)のトークン化に関する規制を改めて示した。暗号資産の交換や取引仲介、トークン発行による資金調達などを引き続き違法な金融活動と位置付け、海外の事業者が中国国内向けに暗号資産関連サービスを提供することも禁止した。

RWAのトークン化も中国本土では原則禁止する一方、当局の承認を得て特定の金融インフラ上で行う場合は例外とした。また、中国国内の資産を使って海外でRWAトークン化を行う場合は、事業内容に応じて当局の同意や届出を求める。人民元に連動するステーブルコインについても、関連当局の同意なしに海外で発行することを認めていない。

関連記事:中国、暗号資産規制をさらに強化──ステーブルコインとRWAトークン化も対象に

一方、香港では中国本土とは異なり、ステーブルコイン発行者の免許制度を運用している。香港金融管理局(HKMA)は4月10日、Anchorpoint Financial(アンカーポイント・フィナンシャル)とHSBC(香港上海銀行)に初の発行者ライセンスを付与した。

8月12日にはアンカーポイントが香港ドル建てステーブルコイン「HKD At Par(HKDAP)」のベータ提供を開始しており、現段階では機関投資家や企業、プロ投資家などを対象としている。

関連記事:香港、初認可ステーブルコイン「HKDAP」の提供を開始

ロシア|新法が施行、越境決済で暗号資産利用へ

Gavel in the foreground with the Russian flag blurred in the background, symbolizing law in RussiaGavel in the foreground with the Russian flag blurred in the background, symbolizing law in Russia

ロシアでは8月4日に公布された、暗号資産の流通や取引を包括的に規定する「デジタル通貨およびデジタル権利に関する連邦法」(282-FZ)の主要規定が9月1日に施行された。既存の金融機関に加え、暗号資産交換所やデジタル資産の権利を記録する機関などが規制対象となる。

一般の非適格投資家は、テストに合格したうえで、仲介業者1社当たり年間30万ルーブルまで流動性の高い暗号資産を購入できる。一方、適格投資家もテストが必要となるが、暗号資産の種類や取引額に上限は設けられない。

関連記事:プーチン大統領、ロシア初の暗号資産法に署名──基本ルールは2026年9月に発効

ただし、国内で商品やサービスの代金として暗号資産を使うことは引き続き禁止する。一方、外国貿易では暗号資産を決済に利用できるようになった。

Acsour(アクサー)によると、USDTなどを使った決済では、契約上の交換レートや評価時点、会計・税務、為替管理などを整合させる必要がある。ロシア法上、「ステーブルコイン」は単一の法的カテゴリーではなく、資産の性質によって扱いが異なるという。

ロシアは暗号資産を国内通貨の代替として広げるのではなく、国内決済を禁止しつつ、投資や国境を越えた取引を規制の枠内に取り込む制度設計とした。

日本|暗号資産規制を金商法へ移管

Close-up of a judge's gavel beside a Bitcoin coin on a Japanese flag, symbolizing crypto regulation in Japan.Close-up of a judge's gavel beside a Bitcoin coin on a Japanese flag, symbolizing crypto regulation in Japan.

日本では7月15日、暗号資産取引に関する規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移す改正法が成立した。暗号資産を株式などの有価証券とは異なる「金融商品」として金商法に位置付け、投資者保護や市場の公正性を強化する。

主要な規定はまだ施行されておらず、7月23日の公布から1年以内に政令で定める日から施行される。

背景には、暗号資産が決済手段だけでなく投資対象として広く利用されるようになったことがある。

改正法では、暗号資産取引業者に情報公表を求めるほか、特定暗号資産の募集・売出しを行う発行者にも情報公表義務を設ける。暗号資産取引業者には第一種金融商品取引業に相当する規制を適用する。また、暗号資産を対象とする投資運用・投資助言やレンディングも規制対象とし、インサイダー取引規制も新設する。

関連記事:【速報】暗号資産の金商法改正案が成立──仮想通貨、正式に「金融商品」へ

米国が暗号資産市場向けの新たな市場構造法の制定を目指し、EUが専用の包括規制MiCAを運用するのに対し、日本は既存の金融法制である金商法に暗号資産を組み込む形を選んだ。

金融庁は8月31日、2027年度の税制改正要望も公表しており、改正金商法の施行を見据えた制度整備が引き続き進められている。

ナイジェリア・南アフリカ|暗号資産規制の整備進む

Nigeria and South Africa national flags fluttering on flagpoles against a blue sky, side by side.Nigeria and South Africa national flags fluttering on flagpoles against a blue sky, side by side.

ナイジェリアでは7月17日、Bola Tinubu(ボラ・ティヌブ)大統領が暗号資産規制の調整を目的とする大統領令に署名した。中央銀行(CBN)や証券取引委員会(SEC)などで構成する「Virtual Asset Council(暗号資産評議会)」を設置し、複数の規制当局にまたがる監督体制の調整を進める。

大統領令は新たな規制当局を設けるものではなく、既存当局の役割分担や連携を明確にする内容だ。証券性を持つデジタル資産はSEC、決済や送金、保管など証券に該当しない暗号資産サービスはCBNがそれぞれ所管する。

その後、ナイジェリアSECはデジタル・仮想資産の運営やカストディ、市場に関する新たな規則案も公表した。暗号資産を巡る監督体制の整理から、具体的な事業ルールの策定へと動きが進んでいる。

関連記事:ガーナ、暗号資産規制のサンドボックスを設置──11社が参加へ

一方、南アフリカでは財務省と南アフリカ準備銀行(SARB)が8月3日、暗号資産の越境取引に関する「暗号資産マニュアル」の草案を公表した。国内の認可事業者から海外の事業者や非カストディアルウォレットへ暗号資産を移転する場合などを越境取引として報告対象とする。

現時点では、認可事業者を通じて暗号資産を国外へ移転できるのは個人に限るとしている。今回の草案は、国境を越えた暗号資産取引を監視・報告の対象とし、不正な資金移動などへの対応を強化する狙いがある。

Glowing world map puzzle pieces connected by orange lights on a dark, tech-inspired backgroundGlowing world map puzzle pieces connected by orange lights on a dark, tech-inspired background

各国・地域で暗号資産を法制度の中に位置付ける動きは進んでいるものの、その方向性は大きく異なる。

EUや日本が金融規制の中への取り込みを進める一方、中国本土は関連業務の禁止姿勢を維持する。ただ、香港ではステーブルコイン発行者の免許制度が運用され、ロシアでも新法の施行により、国内決済を禁止しながら暗号資産の投資や越境利用を規制の枠内に取り込む制度が動き始めた。

また、ナイジェリアでは規制当局間の役割分担や連携を整理し、南アフリカでは暗号資産の越境取引に関する監視・報告ルールの整備が進む。

米国でもクラリティ法案の審議が続くなか、今後は暗号資産を規制するか否かだけでなく、どの活動を認め、誰が監督し、どこまで制限するのかという制度設計の違いが、各国・地域でさらに鮮明になりそうだ。

|文:平木 昌宏
|画像:Adobe Stock

PR

ボーナスで始めるのにおすすめな国内暗号資産取引所3選

取引所名特徴
Coincheck【500円の少額投資から試せる!】
◆国内の暗号資産アプリダウンロード数.No1
※対象:国内の暗号資産取引アプリ、データ協力:AppTweak
◆銘柄数も最大級 、手数料も安い
▷無料で口座開設する◁
bitbank【たくさんの銘柄で取引する人向け】
◆40種類以上の銘柄を用意
◆1万円以上の入金で現金1,000円獲得
▷無料で口座開設する◁
bitFlyer【初心者にもおすすめ】
◆国内最大級の取引量
◆トップレベルのセキュリティ意識を持つ
▷無料で口座開設する◁

Share.