
31歳脱サラ新人警察官 奮闘の現場研修に密着 夢を追いかけ袖を通した制服 地元離れ一人前の警察官目指し闘う日々 広島県警
桜の花びらが舞う3月下旬、広島県警察学校の卒業式が行われました。
制服に身を包み、緊張感と誇りを胸に歩む14人の新人警察官たち。その中に、人一倍強い思いを持ってこの日を迎えた一人の男性がいます。愛知県出身の谷川潤樹 巡査(31)です。
幼い頃から「制服を着ているお巡りさんになりたい」という憧れがあった谷川さん。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。
一度は諦めた夢 地元離れ出会った妻の存在
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谷川さんは学生時代にも警察官を目指していましたが、けがの影響で夢を断念。民間企業へ就職します。その後、全国転勤のある企業へ転職し、配属先の広島で夏鈴さん(28)と出会い結婚しました。
「地元に残りたい」という広島出身の夏鈴さんの思いと、「警察官になりたい」という自らの夢。2つの思いを同時に叶えるため、谷川さんは広島県警への転職を決意しました。
30代で夢を叶えた谷川さん。卒業後のインタビューでは「困っている方をしっかり助けたい。目線を感じる力や察知できる能力を高め、市民に寄り添える警察官になりたい」と、力強く抱負を語りました。
警察学校を卒業し いざ現場へ!
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卒業から1ヶ月半が経ったころ、広島県警 安佐南警察署に谷川さんの姿がありました。
この日行われていたのは、服装や装備品に不備がないかを厳しく確認される”通常点検”。「警察署に出て初めて」という谷川さんの表情は真剣そのものです。
通常点検を終えた谷川さんが向かった先は担当する「佐東交番」です。駅や商業施設の多い緑井地区や八木地区などを管轄する佐東交番。谷川さんはここで実務経験を積んでいきます。
ここでの大切な仕事の一つが「巡回連絡」です。地域の家庭や事業所を直接訪問し、家族構成の確認や、防犯のアドバイスを行います。顔を合わせて直接会話をすることで、地域住民との信頼関係を築いていきます。
共に切磋琢磨 同期から見た「谷川潤樹 巡査」
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巡回連絡を終えて交番に戻ると、つかの間の休息「昼食タイム」。谷川さんが机の上に広げたのは、妻・夏鈴さんお手製の愛妻弁当でした。
「鶏肉の塩麹焼き、たまご焼き、野菜ですね。奥さんのお弁当が一番おいしいです」と満面の笑みを見せる谷川さん。その様子を、警察学校の同期・栩野大輝 巡査(24)は「いやぁ、腹立ちますよ!早く結婚したいですね」と羨ましそうに見つめます。
そんな栩野さんに”谷川さんはどう見えるか”を尋ねると、「社会人経験豊富な30代で、綺麗な奥さんもいる。最初から最後まで『しっかりしてるな』という印象」と話ました。お互いに切磋琢磨しながら一人前の警察官を目指します。
夜間に飛び込んできた1本の通報
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交番での勤務は日中だけではありません。夜間も頻繁にパトロールを実施し、街の安全に目を光らせます。その合間には、専門用語が多く、習得に時間のかかる「書類の作成方法」を学びます。
ある夜、交番に「バイクの騒音」に関する110番通報が入りました。谷川さんは先輩警察官とともに直ちにパトロールカーで現場の緑井駅ロータリーへ急行し、集まっていた少年たちに声をかけます。
谷川さん「いま何歳かいね?」
少年「16です」
谷川さん「学生?」
少年「じゃないです」
谷川さん「じゃない。ごめん。どこで働いとる?」
少年「闇バイトしとるっす」
谷川さん「闇バイトしとるん。それはそれであかんな」
「実際に現場に出ると本当に色々な人がいて、多様な要望がある。それらにしっかり応えなければいけない警察の仕事の大変さを、身をもって実感している」と現場での経験を振り返ります。
直属の上司・和田勉 巡査部長(44)はそんな谷川さんを「とにかく『頑張れ』としか言いようがない。早く力になってな、頼むで」と激励しました。
一人前の警察官へ 挑戦は続く
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雨が降るある日の朝、谷川さんは広島市安佐南区にある山本小学校近くの通学路に立っていました。
誘導棒と笛を手に、行き交う車を制止しながら「いってらっしゃい!」「おはよう!」と元気に子どもたちへ声をかけます。
谷川潤樹 巡査(31)
「小学生は予期せぬ動きをしたり、車道に飛び出したりすることがあるので、しっかり見守らなければいけないと改めて感じました。自分にできることは微力ですが、地域の皆さんが安心して暮らし、子育てができる環境作りを少しでもお手伝いできればと思っています」
一度は諦めかけた夢だからこそ、胸に抱く覚悟と使命感は人一倍です。地域の人々に寄り添い、街の平和を守るため、新人警察官・谷川巡査の挑戦はこれからも続いていきます。
