沖縄県医師会・沖縄県栄養士会・沖縄ファミリーマート3者連携による「おむすびプロジェクト」について

沖縄県医師会・沖縄県栄養士会・沖縄ファミリーマート3者連携による「おむすびプロジェクト」について

 沖縄県は、かつて「健康長寿県」として全国に知られていたが、近年は健康指標の低下が続いており、県民の健康づくりは大きな課題となっている。
 本会では、これまでも県民の生命と健康を守ることを使命として、予防や健康づくりに関する情報を講演会や本会のホームページ等を通じて発信してきた。しかし、「正しい情報を発信するだけでは、なかなか県民の行動変容にはつながらない」という課題意識を強く抱いていた。
 そのため、健康づくりを「難しく伝える」のではなく、県民が日常生活の中で自然と健康を意識できる環境づくりが必要であると考え、その答えの一つとして着目したのが、県民生活に最も身近な存在の一つである「コンビニエンスストア」、そして毎日の生活の中で手に取られる「おむすび」であった。
 このような背景から、医療界から沖縄県医師会、沖縄県栄養士会、そして地域貢献の一環として賛同いただいた県内企業の沖縄ファミリーマートの3者が連携し、「健康をもっと身近に届ける」ことを目的とした、「おむすびプロジェクト」を実施する運びとなった。
 本プロジェクトは昨年10月頃から、およそ半年を掛けて議論と試作を重ね、「忙しい毎日の中でも、無理なく健康を意識できる商品とは何か」「沖縄らしさを大切にしながら、次世代にも食文化を伝えられる商品とは何か」という視点を大切にしながら商品開発を進めた。
 その結果、今年5月26日から6月29日までの約1カ月間、二種類のおむすびを県内全域の沖縄ファミリーマートで販売した。
 商品開発で最も苦労したのは、「健康」と「おいしさ」、そして「商品として選ばれる魅力」のバランスをいかに実現するかであった。「健康」を重視し過ぎると味気ない商品となり、一方で「おいしさ」だけを追求すれば本来の目的が薄れてしまうことが大きな課題であった。そのため、毎日食べても飽きることなく、多くの県民に手に取ってもらえる商品とするため、栄養面だけでなく、味、食感、ボリュームなど、様々な要素について繰り返し検討を重ねた。
 また、沖縄らしさをどのように表現するのかという点も重要な課題であった。地域の特色を生かしながら、幅広い世代に受け入れられやすい商品とするため、3者で何度も意見交換を重ね、最終的に二種類のおむすびを開発した。
 一つ目の商品は「ガパオライス」である。この商品は特に忙しい働き盛り世代を意識し、たんぱく質など日常で不足しがちな栄養素を、手軽に、おいしく摂取していただけるよう開発した。
 二つ目の商品は「ゴーヤーと豚肉のンブシー(みそ煮込み)」である。この商品は沖縄の伝統的な食文化を改めて見つめ直し、長寿県沖縄を支えてきた「食の知恵」を、現代の生活の中でも身近に感じていただきたいとの思いを込め開発した。
 また、本プロジェクトでは、医療と民間企業が連携して取り組んだことも大きな挑戦であった。それぞれ専門性や立場が異なるため、健康面、栄養面、販売面など、多角的な視点から議論を重ね、互いの考えを尊重しながら商品開発を進めた。このような連携があったからこそ、魅力ある商品を完成させることができた。
 販売を終え、本プロジェクトを通じて改めて実感したのは、地元企業や関係団体と連携することで、これまで十分に情報が届きにくかった幅広い層の県民に自然な形で健康を意識していただくきっかけを提供することができるということであった。
 また、県内全域の沖縄ファミリーマートにて販売することにより、県民が日常生活の中で実際に商品を手に取り、「少し健康を意識してみよう」「食生活を見直してみよう」と考えるきっかけを提供できたことから、本プロジェクトは大きな意義をもつ取り組みであったと考えている。
 今後は、「おむすびプロジェクト」を一つのモデルケースとして、医療と民間企業が連携した健康づくりについて様々な角度から情報発信し、県民の健康リテラシーの向上を図っていきたい。

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