私たちの生活の中で、アートを自分が創り出す経験はどれほどあるだろうか。AIが普及するいま、人間だからこそ味わえる人生の楽しみとは何か――。
その解として生まれたのが、アートに触れ、親しみ、発信する体験プログラム「ART LAB×Pen」。8年間にわたって岐阜県で開催されてきた市民が芸術を身近に体感できる「ART LAB GIFU」の理念を継承しながら、全国でアートの体験イベントを開催することを目指し、新たなスタートを切った。
第一弾は岐阜県美濃市で写真と日本画をプロから学べる「ART LAB MINO」と同県高山市で舞踊家からダンスを学ぶ「ART LAB NOMUGI」だ。
魅力あふれる美濃の町並みを体感
写真と日本画の実技講義が行われる岐阜県美濃市は、岐阜県の中心部に位置する。関東・関西のいずれからもアクセスがよく、岐阜市からは車で約40分、名古屋市からは約50分だ。東京からは新幹線などを乗り継いでおよそ3時間半。街に足を踏み入れると、江戸風情が残る町並みが迎えてくれる。
上有知湊(川湊灯台)。船着場までの石段、舟の安全のために奉祀された住吉神社、石灯籠などが昔の名残をとどめている。©美濃市観光協会
江戸時代には領主・金森長近が紙の一大産地として築き上げ、今もその面影を色濃く残している。日本三大清流・長良川や板取川などの美しく冷たい水と和紙の原料となる良質なコウゾに恵まれ、和紙産業のまちとして栄えた歴史を持ち、現在も和紙工房が点在し、各所で美濃和紙の美しさに触れられる。
片知渓谷は美渓として有名で滝や巨大な岩、奇妙な形の岩などその景観が楽しめる。©美濃市観光協会
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美濃の文化から新たな表現を創出
美濃市が持つ伝統文化のチカラもART LAB×Penの始まりの地としてふさわしい。「場の力」を感じられるさまざまな場所を体験プログラムの会場とすることで、美濃市全体をアート体験の舞台として感じることができる。
美濃和紙の職人が紙漉きを行う様子。奈良の正倉院に保存されている戸籍用紙の一部に美濃和紙が使われていたことが、奈良時代の「正倉院文書」に記されている。少なくとも1300年以上の歴史を誇るとされる。©美濃市観光協会
「美濃流しにわか」は、4月に行われる美濃神社の例大祭「美濃祭り」で重要なパートを担っている。©美濃市観光協会
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【日本画実技講座】
「もう一回、二ホンガ」

具体的な講座は3種類だ。日本画実技講座は、岐阜県出身で名古屋芸術大学で教授を務める日本画家の長谷川喜久が講師を務める。日本画の技術を学び、美濃和紙という素材からどのようなインスピレーションを受けるのか。伝統的な日本画技法を学びながら、新たな表現に挑戦し、自分だけの作品を作り上げる。講義では「龍」をモチーフに、日本画の知識と技法を学びながら、自分自身の龍を描く。
開催日: 第1回 9月15日(火) 会場:オンライン講座
第2回 9月19日(土)
会場:Art Space Yashi (美濃市常盤町2281)
※2日間を通して受講。
料金:¥3,000(税込)
定員:20名 ※抽選に外れた方も第1回オンライン講座には参加可能。
長谷川喜久●日本画家・名古屋芸術大学教授。2019年瑞龍寺 塔頭 天澤院 襖制作、GORO NOGUCHI GOLDEN HIT PARADEプロデュース/2022年第9回日展文部科学大臣賞
【写真実技講座】
「BUNTSU 6 & 旅する写真」

写真講座の講師を務めるのは、本誌の連載「創造の挑戦者たち」でお馴染みの写真家、野村佐紀子。「BUNTSU6」は、写真による「文通」を通して、「想いを伝える写真の撮り方」を学ぶ。参加者は週替わりで提示される10のテーマに沿って写真を撮影し、見知らぬ相手と写真を通じた文通を重ねていく。2カ月間にわたる文通ののちに相手と初めて対面し、やり取りした作品を持ち寄ってアルバムを制作する。
「旅する写真」では、参加者は、10のテーマをもとにそれぞれの視点で美濃を撮影。また、講師・野村佐紀子が、参加者一人ひとりのポートレートを撮影する。撮影した写真は、その後、自分の手を離れて誰かのもとへ。ある写真は参加者同士の文通として届けられ、ある写真は人から人へと手渡されながら、さまざまな場所を旅していく。写真には、受け取った人それぞれの軌跡が重なる。写真を「撮る」こと、「撮られる」こと、そして「送る」「受け取る」ことを通して、一枚の写真にどんな変化が生まれるのかを見つめていく。
開催日:第1回 9月26日(土)、27日(日)、28日(月)
会場:美濃市内※26日・27日は原則参加。
※28日は講師による美濃市での撮影(見学・参加可)
第2回 10月17日(土)
会場:東京都内【オンライン参加可(ハイブリッド開催)】
※会場の詳細は9月中旬ごろ連絡。
料金:¥3,000(税込)
定員:20名
野村佐紀子●写真家。九州産業大学芸術学部写真学科卒業後、荒木経惟に師事。1993年より国内外で多数の写真展を開催。「裸ノ時間(平凡社)」など写真集も多数。
【ドローイング&ダンス実技講座】
「線を引くことから始まるダンス」

ドローイング&ダンス講座は美濃市から離れ、「ART LAB NOMUGI」として高山市の野麦学舎で実施される。舞踊家の藤村港平を講師に迎え、線を引くこと、踊ることの接続点からどのような表現が生まれるか体感する。最初にさまざまな方法のドローイングを試し、身体と線の関係を解きほぐしていくことで、のびのびとした線が引けるようになってくる。
次第に飛騨の山々や冷たい空気に身体が反応し、表現が膨らみ、解き放たれていくだろう。引いた線を自分の身体でトレースし、少しずつダンスを立ち上げていくことで、パフォーマンスの完成を目指していく。
開催日:第1回 9月20日(日) 13時30分~17時
第2回 9月21日(月・祝) 10時~15時30分
※2日間を通して受講
会場:野麦学舎(高山市高根町野麦372)
料金:¥3,000 (税込)
定員:10名
藤村港平●舞踊家。ダンスの発生を問うことを目的とした作品の制作を行う。2022年には、パフォーミングアーツにおける積極的意思や主体性を転覆することを試みた作品“対象a”を制作。フリーのダンサーとして国内外問わず多くの演出家や振付家の作品に出演。
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ART体験を日本全国へ
和紙の里の朝の様子©美濃市観光協会
これは一度限りのアート体験プログラムではない。美濃市での実施を皮切りに、日本各地の文化や環境、その魅力に目を向け、再発見し、伝統を未来へと接続していく取り組みだ。地域とアートの出会いが人と人との交流を生み、発見を通して新たな表現を創出する。現代に求められる創造性を手に入れるためのプラットフォームが、岐阜県美濃市と高山市から始動する。
毎年10月に開催される「美濃和紙あかりアート展」©美濃市観光協会


ART LAB×Pen
【注意事項】
※プログラム内容や開催日程等は、都合により変更となる場合があります。※天候やその他の事情により、延期または中止となる場合があります。※お申し込み時に取得した個人情報は、本事業の運営およびご連絡以外には使用しません。※掲載写真はイメージです。※お申し込みは各講座ごとに受け付けます。※定員を超えるお申し込みがあった場合は、抽選を行います。※交通費は自己負担となります。
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受付時間:9時~18時 ※土日・祝除く
