熱戦が続く夏の甲子園。今大会で「最大のサプライズ」のひとつと言われるのが広島・市立福山の出場である。過去最高成績は県ベスト16、数年前には部員不足で連合チームだった「普通の公立校の野球部」は、なぜ大舞台に辿り着いたのか。4カ月前に就任したばかりの名伯楽の手腕に迫った。《NumebrWebレポート全2回の2回目/最初から読む》

 これまでの夏の最高成績は広島県ベスト16ながら、今夏、初の甲子園に辿り着いた市立福山。チームを率いる小田浩監督にとって転機になったのが、2005年に赴任した総合技術での経験だったという。

 同年に開校したばかりの当時の総合技術のようなチームであれば、基礎を叩きこむなかでバントなどの確実性の高い小技を磨く、「弱者の兵法」を実践するケースが多い。

 だが、小田は「課題を細かくつぶしていくのではなくて、スケール感をイメージしながら育成を進めた」と言う。

 例えばバント。3回失敗すればアウトになるため「1球で成功させる」が鉄則だ。小田の思考法は違う。

「ストライクがひとつ増えただけ、という認識です。むしろ『ピッチャーに1球でも多く投げさせた』『チャージをかけたピッチャーやファースト、サードを走らせた』と、プラスに考えさせるようにしたんです」

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