ウラル原油からスラブの語源まで、専門家も間違えるロシア論の落とし穴

杉浦 敏広

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2026.7.23(木)

ロシア人民戦線のフォーラムに参加したプーチン大統領(7月13日モスクワで、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

プロローグ/ロシアの正式名称は?

 戦争は華麗なる虚飾で満ちています。

 戦争を巡る大手メディアの報道も、いわゆる大本営発表を鵜呑みにしたかのような誤解が見受けられます。

 世の中には正確さに欠けるロシア論や石油・ガス談義も横行しており、権威ある学者や知識人が書いたり話したりしている解説の中にも、往々にして誤解・誤謬が潜んでいます。

 もし、友人から「日本の専門家を紹介します」と言われて、日本専門家と称するその外国人が上梓した本を調べ、「日本の正式国名は日本共和国です」と書かれていたら、あなたはその専門家を信用できますか?

 最近特に顕著な疑問点は、ホルムズ海峡封鎖を巡る日本の大手メディアのホルムズ依存報道です。

 本稿では、最近発表された旧ソ連邦諸国に関するエネルギー論やホルムズ海峡封鎖関連記事、石油・ガスに関する疑問点の実例をご紹介します。

 ただし、人の揚げ足を取ることや間違いを揶揄することが目的ではなく、その疑問点を整理して、より正確なエネルギー論とロシアの実像に迫りたいと考えております。

 なお、本稿で言及する疑問点には共通項があるので、本稿の結論を先に申し上げます。

 筆者は、下記のポイントを押さえるだけで、現在日本の大手メディア等にある誤解や誤謬の類は雲散霧消するものと考えております。

●ロシア国家の生い立ちは、ヴァリャーギ(ヴァイキング)・ルーシ族による王朝(有力な説)。

●「スラブ」の語源は「slave(奴隷)」ではない。

●現在の「ロシア」の正式名称は「ロシア連邦」。

●原油の性状(品質)は鉱区ごとに異なり、油種により油価は異なる。

●ロシア連邦の現行石油ガス税収の大部分(9割超)は炭化水素資源採取税(輸出税ではない)。

●2022年2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻後、ロシア・ウラル原油の油価は下落。

●日本の原油輸入に占める「中東依存度」と「ホルムズ依存度」は異なる概念。

●日本の「中東依存度」は資源エネルギー庁が毎月公表しているが、「ホルムズ依存度」は同庁が公表する正式統計項目としては確認できない。

●米原油・カザフスタン産原油・アゼルバイジャン産原油等は中東原油の「持続的代替供給源」にはなり得ない。

●中国やインドはロシア産原油を輸入しているが、相場より安く輸入している。

 本稿では過去の日本の大手メディア記事やTV情報生番組で解説された実例を具体的に幾つか列挙して、問題点を整理していきたいと思います。

 ご高覧いただければ幸甚です。

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