【7月22日 CNS】競争の激しい市場を勝ち抜きながら、中国の自動車産業は進化を続けている。新エネルギー車(NEV)の市場シェアは急速に拡大し、各地のモーターショーも多くの来場者でにぎわっている。しかし、上海蔚来汽車(NIO)の創業者・李斌(Li Bin)氏はこのほど、「今年の国内自動車小売販売は前年比で15~20%減少する可能性を想定しておくべきだ」と警鐘を鳴らした。

李氏の発言は、活況が続く自動車市場に冷や水を浴びせるものとなった。実際、国内市場のデータにもその兆候が表れている。中国自動車流通協会乗用車市場情報聯席分会(乗聯分会)が公表した6月第1週のデータによると、全国の乗用車小売販売台数は22万8000台で、前年同期比23%減少した。今年1~5月の累計販売台数も前年同期比19.5%減となっている。

もっとも、販売減少は市場が飽和したことを意味するわけではない。2025年末時点で中国の自動車保有台数は3億6600万台に達し、人口1000人当たりの保有台数は約260台だった。これに対し、米国では数年前の時点ですでに843台、ドイツや日本でも600台を超えている。成熟市場と比べれば、中国には依然として大きな成長余地があり、「需要がなくなった」との見方は当てはまらない。

では、市場の冷え込みはどこから来ているのか。北方工業大学(North China University of Technology)自動車産業イノベーション研究センターの張翔(Zhang Xiang)研究員は「現在の販売台数や自動車メーカーの利益減少は、補助金縮小や自動車取得税政策の見直し、昨年の前倒し需要、新車投入サイクルの加速など複数の要因が重なった結果だ。消費者は購入を諦めたのではなく、より良いタイミングを待っている」と三里河の取材に語った。

一方で、業界そのものの過当競争も圧力を強めている。中国には100社を超える自動車メーカーが存在するが、欧米や日本、韓国など成熟市場の主要メーカーは10社程度にすぎない。産業の集約が進む中で、市場から退出する企業が出ることは避けられない。

業界再編の初期段階では、価格を引き下げて販売台数を確保することが企業の本能的な選択となる。このような短期的な価格競争は、欧米や日本、韓国の自動車産業の発展過程でも繰り返されてきた。しかし、価格競争の先にあるのは業界全体の利益低下と、イノベーション投資の停滞である。成熟市場はいずれも、「価格競争」から「価値競争」への転換を遂げてきた。最終的に勝ち残った企業は、いずれも技術力や品質、ブランド力、サービスを競争力の基盤としていた。

こうした新たな局面を受け、中国当局も対応を強めている。6月には工業・情報化部と国家市場監督管理総局が、不合理な競争行為の疑いがある自動車メーカーに対し、行政指導を実施した。それ以前にも、工業・情報化部など3部門は1月と3月に新エネルギー車業界の座談会を開催し、市場競争の秩序維持やコスト監視の強化を進めてきた。

張氏は「メーカーには価格設定の自由があるが、継続的で非合理な価格競争は業界全体の発展を阻害する。コスト削減のしわ寄せはサプライチェーン全体へ波及し、業界そのものを疲弊させる」と指摘する。

当局がたびたび介入する狙いは、競争そのものを止めたり、弱い企業を保護したりすることではない。市場からの退出は避けられないとしても、それが無秩序に進むことは防がなければならない。行政指導や注意喚起、業界への働きかけが繰り返される背景には、こうした考え方がある。

一部の自動車メーカーはすでに戦略の見直しを進めている。ブランドの統合、コスト構造の最適化、自社開発チップの導入、海外市場の開拓などを進め、「価格競争」から「技術競争」「ブランド競争」「グローバル展開競争」へと軸足を移しつつある。

こうした戦略が正しいかどうかは、最終的には市場が判断することになる。歴史が繰り返し示してきたように、本当の産業高度化は順風満帆の中で実現するものではなく、競争による淘汰を経てこそ成し遂げられる。

業界では以前、「今後数年で中国国内の自動車ブランドの約80%が姿を消す」との見方も示されていた。しかし、その数字以上に重要なのは、厳しい競争を経た先に、中国の自動車産業に何が残るのかという点である。別の視点から見れば、中国の自動車産業は今まさに、高品質な発展へ向けた新たなスタートラインに立っている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News

 

Share.