WebのGeminiやGeminiアプリなどでGemini 3.6 Flashが使用可能になった
新しいAIモデルなのに、前の世代より安い。Googleは7月22日(日本時間)、大規模言語モデル「Gemini」に、高速・低コスト帯の新モデル2種を追加した。「Gemini 3.6 Flash」は前世代の「Gemini 3.5 Flash」より出力の無駄を17%減らしつつ料金はむしろ下がり、軽量版の「Gemini 3.5 Flash-Lite」とともに同日から使用可能となった。もっとも、Googleが本命と位置づける最上位モデルは、この日のラインアップには含まれていない。
Gemini 3.6 Flashは、Googleが「Flash」と呼ぶ主力モデルである。文章に加えて画像なども扱え、コーディングや知識労働、マルチモーダル処理で前世代を上回る。料金は100万トークン(AIが文章を扱う際の処理単位)あたり入力が1.5ドル(約245円)、出力が7.5ドル(約1,223円)で、出力側は3.5 Flashの9ドル(約1,467円)から下がった。知識のカットオフ(学習データの締め日)は2026年3月。性能評価テストのベンチマーク「Artificial Analysis Index」では、同じ作業でも出力トークンを17%少なく済ませたという。
効率だけでなく、精度も上がっている。コード修正の正確さを見る「DeepSWE」では、余計な書き換えや手戻りが減り、スコアは37%から49%へと大きく伸びた。パソコンを実際に操作させる「OSWorld-Verified」も78.4%から83.0%へ向上している。一方、文書作成など知識労働を測る「GDPval-AA v2」は1,349から1,421と、伸びは小幅にとどまる。文書やグラフの読み取りに強いとして、AI企業のHebbiaやHarveyが早期採用者に名を連ねる。
Gemini 3.6 Flashと従来モデル(3.1 Pro、3.5 Flash)の比較。DeepSWEやMLE-Bench、OSWorld-Verifiedなど主要ベンチマークで前世代を上回った
新機能として、画面を見てクリックや入力を代行する「コンピュータ操作(computer use)」が、Gemini API上で標準ツールとして組み込まれた。人が使うアプリを、AIが自分で操作できるようになる仕組みだ。安全面では、化学・生物・放射性物質・核(CBRN)やサイバー攻撃への悪用を防ぐ「Frontier Safety」の対策を強化し、制限を回避させようとする指示(ジェイルブレイク)に対して従来より破られにくくなったとする。
もう一つのGemini 3.5 Flash-Liteは、3.5系で最速の軽量モデルだ。1秒あたり350トークンを出力し、料金は100万トークンあたり入力0.3ドル(約49円)、出力2.5ドル(約408円)と安い。大量処理や検索、文書処理など、速さと量が求められる用途に向く。前世代の「3.1 Flash-Lite」より品質が上がり、コーディング系の「Terminal-Bench 2.1」では31%から54%へと差を広げた。
Gemini 3.5 Flash-Liteは前世代の3.1 Flash-Liteを上回り、Terminal-Bench 2.1では31%から54%へ伸びた
両モデルとも即日利用できる。開発者はGoogle AI StudioなどからGemini API経由で、一般ユーザーはGeminiアプリから使え、3.5 Flash-Liteは順次Google検索にも組み込まれる。3.6 Flashは開発ツール「Google Antigravity」や法人向けの環境にも対応する。
なお、Googleは本命とする「Gemini 3.5 Pro」を現在パートナーと検証中で、「準備が整い次第、広く提供する」とだけ説明し、具体的な時期は明らかにしていない。さらに次世代の「Gemini 4」については、過去最大規模の事前学習を始めたという。入手しやすいFlash勢が先にそろった今、本命の最上位モデルがいつ、どの水準で登場するかが次の見どころになる。
今回追加された2モデルGemini 3.6 Flash: 主力の「Flash」。100万トークンあたり入力1.5ドル(約245円)、出力7.5ドル(約1,223円)。出力トークンを17%削減しつつ、出力料金は3.5 Flash(9ドル)から値下げGemini 3.5 Flash-Lite: 3.5系で最速の軽量モデル。100万トークンあたり入力0.3ドル(約49円)、出力2.5ドル(約408円)。毎秒350トークンを出力
