2026年F1第10戦ベルギーGPのオープニングラップでリタイヤを強いられたジョージ・ラッセル(メルセデス)が、事故直後のチーム無線で激しい剣幕を見せ、苛立ちを爆発させていたことが分かった。
この無線通信は、F1の公式国際放送やオンボード映像では無音処理されており、多くの視聴者は目にすることができなかった。だが、SNSやドイツメディアを通じて後に発覚する事態となった。
判明したラッセルの怒声「こんなの受け入れられない!」
レ・コーム(ターン5)でルイス・ハミルトン(フェラーリ)と接触してグラベルに捕らわれた際、ラッセルが手ぶりを交えて何かを叫ぶ様子が見られた。
だが、国際放送やオンボード映像、さらにはF1公式SNSで公開された以下の動画にも音声は含まれていなかった。
その後、SNSやドイツメディアを通じて、怒りの発言内容が明らかになった。ラッセルはケメル・ストレートで、全てのメルセデス製パワーユニット(PU)が抱えた問題によるバッテリー残量不足に見舞われ、無防備な状態に陥って後続にのみ込まれたことに激怒していた。
「終わった! SoC(充電状態)は一体どうなってんだ!? ストレートでバッテリーが全くなかった!……みんな、こんなの受け入れられない! 今週末ずっとそうだ! マジであり得ない!」とラッセルは、放送禁止用語を交えながらチームに対して、文字通りの怒鳴り声を上げていた。
この無線内容についてイギリスの専門メディア『The Race』は、国際中継やオンボード映像では検閲によりカットされたものの、公式配信サービス『F1 TV』のドイツ語版だけは、この無線を独自に取り上げて配信したと伝えている。
激昂無線を伏せたF1公式、その理由と是非
国際放送でこの発言が流れなかった明確な理由は不明だが、同メディアは「ラッセルが使用した不適切な言葉遣いが理由だった」としている。いずれにせよ、偶発的ではなく意図的に伏せられたのは明白だろう。
この事故により、ラッセルはノーポイントに終わり、ドライバーズ・ランキング3位に後退した。タイトル争いで大きな痛手を受けただけに、事故直後に何を語るのかは大きな関心を集めるものだった。
それでも、F1公式はその発言を徹底して取り上げなかった。
各週末後に公開される恒例の「Radio Rewind」でも、接触相手であるハミルトンの無線を取り上げた一方、ラッセルの無線は先程の冒頭の一言に限られた。17分10秒に及ぶこの動画で、ラッセルの発言として収録されたのは「終わった!」のみで、以降は全てカットされている。
レース中には、22人のドライバーと各チームのエンジニアとの間で絶え間なくやり取りが続けられている。その中から、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)のテレビディレクターは国際映像で流す内容を取捨選択している。
罵り言葉や、攻撃的な表現は放送されないか、あるいは場合によっては電子音、いわゆる「ピー音」で伏されて放送される。こうした検閲は無論、F1のイメージ保護という目的もあるだろう。だがFOMは、ドライバーやチームへの誹謗中傷を防ぐことを検閲の理由として挙げている。
国際映像は幅広い文化的背景を持つ視聴者に届くため、担当ディレクターに慎重な配慮が求められることは確かだろう。
一方で今回の件は、物議を醸す新たなレギュレーションがもたらした負の側面と言える部分もあるだけに、少なくともその事実が判明した後の「Radio Rewind」に関しては、取り上げることで視聴者に考える材料を提供する意義はあったという見方も可能だろう。
