新幹線長崎ルート 国と佐賀“密会”実り 満面の笑み 長崎県、前進歓迎も重い課題

合意に至った経緯を話しながら笑顔を見せる山口知事(右)と水嶋事務次官=佐賀県庁

 九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖−武雄温泉)を巡り、昨年10月から重ねてきた佐賀県知事と国土交通省事務方トップの協議は、環境影響評価(アセスメント)の実施で合意し、17日の合同会見では両者から笑顔がこぼれた。フル規格化を目指す長崎県にとって「重要な一歩」を踏み出したが、合意文書には長崎県の財政負担も盛り込まれ「県民の納得を得られるのか」との声も聞こえる。

 5月下旬までに7回の協議を重ねてきた山口祥義知事と水嶋智同省事務次官。合同会見では、8回目からは「静謐(せいひつ)な環境」で協議し、東京で3回、佐賀で1回の“密会”を重ね、互いに本音をぶつけ合って合意にこぎ着けたと明かした。

 同省鉄道局長だった2020年から佐賀県にアセスを提案してきた水嶋事務次官は「九州新幹線を現状のまま放置してはいけないという強い思いで取り組んできた。佐賀県の地域振興、九州北部の活性化に向けた新しい一歩を踏み出すことができる」と安堵感をにじませた。

 山口知事も「(関係者が)みんなで考えられる形になった」と語った。同ルートの議論を山登りに例え「これまでは登り方をやみくもに考えていた」とし、今回の合意で「いろいろなところで議論が始まり、見えてくるものがある」と手応えを口にした。

 山口知事は「今後は長崎県民のみなさんも関係する」とも繰り返した。それは合意文書に盛り込まれた財政負担の在り方を指す。事業化する場合の佐賀県区間の地方負担は「長崎、佐賀両県で共同負担することが適当」と記し、今後両県で協議を始めることになった。

 これまで長崎県は「整備新幹線の地方負担は法令で決まっている。佐賀県分を負担する形にはならない」としてきた。

 合意に沿えば、県の決断が求められるが、県議会でも意見は分かれている。保守系の議員はフル規格化にメリットがある以上は「負担は仕方がない」と理解を示す。一方、非自民議員の一人はこう疑問を呈する。

 「これまでの新幹線整備で相当な負担をしてきた。厳しい財政状況でどこにそんなお金があるのか」

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