澤田哲生の「科学と社会のあいだ」

【澤田哲生の「科学と社会のあいだ」】国際卓越研究大学につながった設計思想と政策回路の内側【前編】

澤田 哲生

澤田 哲生
エネルギーサイエンティスト

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2026.7.18(土)

一つの成功例として知られている沖縄科学技術大学院大学(写真:共同通信社)

 政府は、OIST(沖縄科学技術大学院大学)を「世界に肩を並べる成功例」として掲げている。しかし、その「成功」は、ものさしの当て方ひとつで姿を変える。

 たとえば、質の高い科学雑誌への論文掲載を、機関の研究規模に応じて正規化集計する「Nature Index」という調査がある。2019年のこの調査を機関の規模で正規化した順位で見ると、OISTは世界9位になる。ところが、同じ2019年の同じ調査を、正規化せず論文数だけで見ると、OISTは世界360位まで下がる。同じ大学、同じ年の同じ調査が、ものさしの当て方ひとつで「世界9位」にも「世界360位」にもなるのだ。

 ここで指摘したいのは、OISTで行われている研究そのものではない。そこには本物の優れた研究がある。指摘したいのは、「少人数・英語・注目される分野に集中する」というOISTだけにしか使えない特別なやり方を、まるでどの大学にも当てはまる「正解」であるかのように語り、それを普通の大学に押しつけようとする政策の考え方のほうである。

普通の国立大学とは異なる存在

「成功」は、都合のいいものさしを選ぶことで作られる。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、2001年に当時の沖縄担当大臣・尾身幸次氏が構想を打ち出し、2012年に学生を受け入れ始めた大学院大学である。学部(大学1~4年生にあたる課程)は持たず、5年一貫の博士課程だけでできている。

 普通の国立大学は文部科学省が管轄するが、OISTは違う。管轄しているのは内閣府の沖縄振興局で、根拠になっている法律も「沖縄振興特別措置法」や「沖縄科学技術大学院大学学園法」という、他のどの大学とも全く違うものだ。

 この違いは、主にお金の問題であると読み解くことができる。

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