後半のアディショナルタイム、途中出場のマルチネッリが決勝点

 憧れるのをやめましょう――。

 3年前、野球の日本代表はこの言葉を胸に、ベースボール発祥の国を倒して“最高の景色”に辿り着いた。

 競技は違えど、番狂わせを起こすために必要な心構えは共通だ。ラウンド32の相手は、世界最多5度のW杯優勝を誇るブラジルである。憧れたままキックオフを迎えれば、あっという間に飲み込まれてしまう。チャレンジャー精神は保ちながら、いかに本気で「勝てる」と信じられるか。

 決戦前日、公式練習を終えた吉田麻也に、後輩たちのメンタル状態を訊いた。過去3度ずつW杯と五輪を経験し、今回はサポートメンバーとしてチームを支える元キャプテンは、声を弾ませた。

「すごいよ、今の選手たちは。あのブラジルが相手なのに、全然びびっていない。自分たちがこれまで積み上げてきたものに、相当自信がある証拠でしょうね」

 最後に一言、付け加えた。

「令和の時代だね」

前半はコンパクトな陣形で決定的なパスを通させず、ビニシウスには冨安と堂安が対応。佐野のミドルで先手を取った。しかし後半、システムを変更してクロスを放り込むブラジルの圧に飲まれる時間が長く続き、最後は延長目前で力尽きた前半はコンパクトな陣形で決定的なパスを通させず、ビニシウスには冨安と堂安が対応。佐野のミドルで先手を取った。しかし後半、システムを変更してクロスを放り込むブラジルの圧に飲まれる時間が長く続き、最後は延長目前で力尽きた

佐野海舟が、虎視眈々と狙っていた

 吉田の見立てどおり、令和の日本代表はブラジルを前にしても、グループステージと同じスタイルを貫き、真っ向勝負を挑んだ。コンパクトな陣形を保ち、守備時は5-4-1で堅いブロックを組む。好機と見れば前田大然が、伊東純也が、中村敬斗が、果敢に仕掛けた。

 その狙いを、森保一監督はこう明かした。

「ある程度相手にボールを持たれる、押し込まれる展開は、試合全体として起こり得ると予想していましたし、実際に起こっていたと思います。その中で、粘り強くしっかり守りながら、攻撃のチャンスを作る。我々のチームコンセプトでもある“良い守備から、良い攻撃”を、選手たちは割り切って実践してくれていた」

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