プレミアムSUVは数多く存在する。しかし、その姿を見るだけで「どこへでも行けそうだ」と思わせるモデルは決して多くない。ランドローバー「ディフェンダー」は、その数少ない存在だ。かつて質実剛健な実用オフローダーとして世界中で活躍したディフェンダーは、現行モデルでそのDNAを受け継ぎながら、都市にも自然にも似合うプレミアムSUVへと進化した。そして2026年、日本市場に新たな選択肢として加わったのが、ブランド初となるPHEV(プラグインハイブリッド)モデル「ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e」である。

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一見すると、PHEV化は環境性能向上のためと思われがちだ。しかし日本市場において、この追加にはそれ以上の意味があるように感じた。平日は都市を移動し、休日はゴルフ場や自然へ向かう。そんな使い方をするオーナーは少なくない。ディフェンダー本来の圧倒的な悪路走破性はそのままに、日常では静かで洗練された移動を楽しめる。PHEVは、日本人のライフスタイルにディフェンダーをより身近な存在へと変えたのだ。

コクピットへ乗り込むと、まず視界の広さに驚かされる。コマンドポジションは周囲を見渡しやすく、大きなボディを意識することなく運転へ集中できる。インテリアは水平基調のダッシュボードによって開放感があり、無骨さと上質さを絶妙なバランスで両立。金属調パネルやディフェンダーらしい意匠を随所に残しながらも、センターには大型タッチスクリーンを配置し、ナビや空調、各種車両設定まで直感的に操作できる。画面の反応も非常に滑らかで、最新プレミアムSUVらしい完成度を感じさせた。

スタートボタンを押しても、バッテリー残量が十分であればエンジンは目を覚まさない。静かにシステムが起動し、セレクターをDレンジへ。アクセルをわずかに踏み込むだけで、約2.6トンのボディが音もなく滑り出す。この瞬間、従来のディフェンダーとは違う世界が広がる。

105kW(142PS)のモーターは発進直後から250N・mの最大トルクを発生し、大柄な車体を驚くほど軽やかに前へ押し出す。市街地ではほぼEVとして走行でき、交差点を曲がるたびに、その静粛性の高さと滑らかな加速に思わず笑みがこぼれる。

アクセルを深く踏み込めば、2.0リッター直列4気筒ターボエンジンが自然に加わる。しかし、エンジンが始動したことに気付かないほど制御は滑らかだ。モーターが低速域を、エンジンが中高速域を受け持ち、それぞれが最も得意な領域で仕事をするため、加速は終始リニア。重量級SUVとは思えない軽快さで速度を伸ばしていく。

高速道路へ入ると、このPHEVの真価がさらに際立つ。ロードノイズや風切り音は巧みに遮断され、室内には穏やかな空気だけが流れる。エアサスペンションは継ぎ目や段差をしなやかに吸収し、大柄なSUVとは思えない落ち着きを見せる。長距離を移動しても疲労感は少なく、まるで上質なラグジュアリーサルーンを運転しているような感覚さえ覚えた。

車重増をネガティブに感じる場面もない。床下へ搭載されたバッテリーによる低重心化もあり、コーナリングでは背の高いSUV特有のロールやピッチングを効果的に抑制。従来から評価の高かったディフェンダーの安定感はさらに磨かれ、ステアリング操作に対して素直で気持ちの良いハンドリングを見せる。EV走行距離はWLTCモードで53km。日常の移動であれば、エンジンを使わずに走れる場面も多いはずだ。市街地では静粛性を存分に味わい、週末にはゴルフ場や自然へ足を延ばす。そんな使い方の中で、PHEVならではの扱いやすさと快適性が、このモデルの世界をさらに広げてくれる。

もちろん、ロングドライブではエンジンが航続距離への不安を払拭し、目的地までの距離を気にする必要もない。電動化によって快適性を手に入れても、このクルマが備える走破性や頼もしさは少しも揺らいでいない。 もはや、その魅力はオフロードだけでは語れない。

都市では静かに、そして上質に。休日はゴルフやアウトドアへ向かう相棒として、新しい日常にも自然に溶け込む。日本初導入となるPHEVは、伝統の走破性に、洗練という新たな価値を加えた。都会でこそ、その真価はより鮮明に感じられるはずだ。

ランドローバー ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e  車両本体価格 1091万円(税込)

ボディサイズ | 全長 4945 X 全幅 1995 X 全高 1970 mm
ホイールベース | 3020 mm
車両重量 | 2640 kg
エンジン | 直列4気筒 ターボ
排気量 | 1997 cc
最高出力 |  224 ps(165 kW)
最大トルク |  350 N・m
モーター最高出力 |  142 ps(105 kW)
一充電航続距離  |  53 km (WLTCモード)

Text : Takuo Yoshida

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