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昨年まで全日本ラリー選手権で活躍したヘイキ・コバライネンとともにイタリアラリー選手権へ挑戦するダンロップ。その武器となるFIA公認タイヤのDIREZZA 301RとDIREZZA 201Rについて、住友ゴム工業株式会社モータースポーツ部の中野敏幸氏に話を伺った。

住友ゴム工業株式会社モータースポーツ部の中野敏幸氏とヘイキ・コバライネン選手
──現在、FIAに登録しているタイヤの種類について、あらためて教えてください。
中野:旧製品を除くと、現在FIAに登録しているのはDIREZZA 301RとDIREZZA 201Rの2種類です。301Rは主にドライ路面向けで、コンパウンドはハード、ミディアム、ソフトの3種類を設定しています。一方、201Rはウエット路面用で、コンパウンドは1種類です。サイズはいずれも210/650R18のワンサイズで、国内表記では235/40R18に相当します。
──いずれも全日本ラリー選手権でも使われているタイヤ銘柄ですが、全日本ラリー用とFIA公認タイヤで性能的に異なる部分はありますか?
中野:タイヤ銘柄としては共通ですが、性能面では一部仕様が異なります。FIA登録タイヤは、ラリー2車両やJP4車両が参戦するカテゴリー規定に合わせて設計されています。特徴としては、従来使用していた同クラス向けタイヤと比較してトレッド幅が狭い点が挙げられます。その制約の中で、ラリー2およびJP4車両の性能を発揮できるよう最適化を行っています。
──イタリアラリー選手権の概要について教えてください。
中野:コバライネン選手が参戦している最上位クラスには、ラリー2車両が約20台ほどエントリーしています。全体として競技レベルは非常に高く、全日本チャンピオンを4回獲得しているコバライネン選手であっても、常にトップ10入りするのは容易ではない状況です。また、全日本ラリーと比較するとステージ距離が長く、平均速度の高い高速ステージが多い点も特徴です。
──全日本より厳しい環境でのラリーとなりそうですか?
中野:タイヤに対する厳しさの方向性が、日本とイタリアでは異なると認識しています。日本の場合は低速で曲がりくねった区間が多く、特に摩耗に対する負荷が非常に大きいのが特徴です。一方イタリアでは高速ステージが主体となるため摩耗は比較的穏やかですが、その分、高速域でのスタビリティや操縦安定性、さらには耐久性が強く求められます。日本とは異なる厳しさがあると言えます。
──コバライネン選手は全日本ラリー時代に他の選手がミディアムやソフトコンパウンドを選ぶようなシーンでもハードコンパウンドを選択することが多かったと思うのですが、それぞれのコンパウンドの特性を教えてください。
中野:ソフトコンパウンドは、低温時やダンプ路面など、タイヤが発熱しにくい条件においても十分なグリップを発揮できるよう設計しています。一方、ハードコンパウンドは耐摩耗性に優れ、高温域でも安定した性能を維持できることを重視しています。ミディアムコンパウンドはその中間に位置づけられ、できるだけ幅広い条件に対応できるバランス重視の仕様としています。

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──そのコバライネン選手とともに、イタリアラリー選手権を戦うこととなった経緯を教えてください。
中野:コバライネン選手がイタリアラリー選手権への参戦を検討される中で、「一緒に取り組めないか」というお話をいただいたのがきっかけです。私たちとしても、ヨーロッパで勝負し、世界で通用するタイヤを開発したいという思いがありました。そのタイミングが一致したことで、本プロジェクトが実現しました。
──コバライネン選手とは、全日本ラリー時代にはどのような関係だったのでしょうか?
中野:全日本ラリー参戦時は、コバライネン選手からいただくフィードバックを開発に反映し、それをもとに改良を重ねていくという関係でした。特に印象的なのは、参戦当初から横方向のグリップに過度に依存しない、現在のラリー2にも通じるドライビングスタイルを実践されていた点です。そうした点から、我々が学ぶことも非常に多くありました。
──日本のラリーで生まれ、今後は日本と同時にFIA公認タイヤとしてイタリアラリー選手権でも鍛え上げられることになると思いますが、逆にイタリアラリー選手権で得られた知見やノウハウが国内向けのタイヤにフィードバックされるようなことはありますか?
中野:我々は“路面に対する依存性の低さ”を重要な開発テーマとしており、様々な環境で安定した性能を発揮できるタイヤを目指しています。イタリアラリー選手権で得られる知見やノウハウは、そのまま全日本で通用する部分もあれば、条件の違いによって調整が必要な部分もありますが、いずれも開発にとって非常に有益です。特に高速域での安定性や耐久性に関するデータは、市販タイヤを含めた製品開発にもフィードバックされ、より幅広い使用環境への対応力向上につながっていきます。最終的には、日本と海外双方の知見を融合し、あらゆる路面環境に対応できる“強いタイヤ”を開発していきたいと考えています。

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