2026年6月12日 午前7時30分
【論説】福井県高浜町の若狭和田ビーチが、優れたビーチに与えられる国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得して10年を迎えた。同認証は毎年厳しい審査を経て更新され、今年5月には無事11回目の認証を受けた。さらなる継続には地域住民の協力が欠かせない。町屈指の観光資源である「安全で美しい海」を地域の活性化に結びつける方策を考えたい。
高浜町は昔から「関西の避暑地」として知られ、昭和から平成にかけては海水浴シーズンを中心に年間100万人を超える観光客が訪れた。近年はレジャーの多様化で減少し、一方で水上バイクによる迷惑行為やごみの不法投棄が問題となっていた。2013年に町の関係団体で「ジェットスキー対策会議」を立ち上げ水上バイクの問題は解消。これを機に「安全で美しい海を残したい」との機運が盛り上がり、当時国内でほとんど知られていなかったブルーフラッグの認証取得に乗り出すことになった。
水質やビーチ利用者への安全管理、ビーチの清掃管理、生態系の保護、ビーチ利用者への環境教育など4分野33項目の基準をクリアし、16年にアジアで初めて認証を受けた。
これまで11年連続で認証され、和田の海の安全性や美しさは国際的なお墨付きを得た。ただ、ブルーフラッグが観光客の増加など地域活性化につながっているとは言いにくい。認証前年の15年の町内の海水浴入り込み数は20万4100人。認証された16年こそ23万400人と増えたが、その後は20万人を割り込んでいる。
ブルーフラッグ自体がまだ国民に認知されていないことも要因にあるのではないか。海外、特に欧州ではブルーフラッグは絶対的なステータスで、スペインでは676、ギリシャで624、イタリアでも525のビーチが認証されている。一方、日本国内では16年に若狭和田ビーチがアジアで初めて取得して以降、増えてはいるものの今年5月時点で15カ所にとどまっている。
ブルーフラッグ認知度アップに向け高浜町は、SNSやウェブサイトを活用し積極的に情報発信を続けている。取得を目指し視察に訪れる県外の自治体や観光関係者らにも情報提供を惜しまない。町担当者は「国内にもっと認証ビーチが増え、切磋琢磨(せっさたくま)しレベルアップするといい」と話す。
現在公開中の若狭和田ビーチが舞台の映画「ライフセーバー!」を認知度アップの追い風にしたい。さらに来年5月には生涯スポーツの世界大会「ワールドマスターズゲームズ」のライフセービング競技が行われる。国内外の多くの人に安全で美しい海をPRできるまたとない機会になるはずだ。万全に準備したい。
