回転数とギアを選ぶ必要性こそ醍醐味
プラグインHVやバッテリーEVへ慣れた人は、マツダMX-5(ロードスター)のエンジン音の大きさに驚くだろう。低域ではドライでこもった、特有の響きを放つ。だが回転は極めて滑らかで、7500rpmのレッドゾーンまで軽妙に吹け上がる。
2.0Lユニットは183psを発揮し、力強さも充分。0-100km/h加速は6.5秒がうたわれ、実際にその数字を達成してみせた。100km/h超での速度上昇も力強い。とはいえ自然吸気だから、中間加速はターボエンジンのようにシフトダウンいらず、ではない。
マツダMX-5(ロードスター) 2.0スカイアクティブG 184ホムラ(英国仕様)
むしろ、その回転数とギアを選ぶ必要性こそ、ロードスターの醍醐味。トルクを活かせるギアを選び、右足を傾け回転数を引っ張り、望んだパワーを展開する面白さは、他のモデルでは味わい難い。変化するサウンドも、その体験を増長する。
シフトレバーの感触は、市販車の最高水準。ストロークは短く、手応えが心地良く、コクコクとゲートを選べる。トルクが限られるから、変速の喜びを何度も味わえる。
シャシーの実力を最大限に引き出せる喜び
ペダルレイアウトは、若干右側へオフセットしているが、すぐに慣れる程度。アクセルとブレーキの配置が絶妙で、ヒール&トウでのシフトダウンも簡単に習得できるだろう。クラッチペダルの重み付けも、軽すぎず好ましい。
ブレーキは、ホムラ・グレードには4ポッドキャリパーが組まれ、耐フェード性は高い。他方、約110km/hから停止に要した距離は49.5mで、スポーツカーとしては長い部類に入った。最新銘柄ではない、ブリヂストン・タイヤが原因かもしれない。
マツダMX-5(ロードスター) 2.0スカイアクティブG 184ホムラ(英国仕様)
操縦性も素晴らしい。限られたグリップ力と小さくないボディロールで、操る楽しさが醸成されている。ステアリングホイールは重すぎず、握りやすいリムにはグリップ状態が伝わり、シャシーの実力を最大限に引き出せる。
カーブの入り口で減速し、フロントに荷重を移動すれば、安定した旋回が始まる。アクセルペダルの加減で、ラインやスタンスの調整は自在。僅かなテールスライドを誘いつつ、高速コーナーをすり抜ける強刺激は、病みつきになってしまう。
スポーツカーと思えないほど快適な乗り心地
最新のND3型に実装される、トラック(サーキット)・モードは、サーキット初心者を想定したスタビリティ・コントロールの制御だと、マツダは主張する。実際に試してみると、過度なスライドへ陥る不安を減らし、ワインディングにもぴったりだった。
もちろん、サーキット走行を学ぶのにも最適。FRのバランスと荷重移動、アンダー/オーバーステアなどを、安全な速度域で実習できる。経験豊かなドライバーでも、振り回せる楽しさがある。もう少し、シャシーを引き締めたいと感じるかもしれないが。
マツダMX-5(ロードスター) 2.0スカイアクティブG 184ホムラ(英国仕様)
一方、市街地を普通に走らせるだけでも、運転の喜びは享受できる。乗り心地はスポーツカーと思えないほど快適で、舗装のツギハギやマンホールも滑らかに処理してくれる。
1つ指摘するなら、高速巡航時はソフトトップを閉じていても風切り音が大きく、ロードノイズも小さくない。鋭い段差を通過すると、オープンボディが故の振動が伝わってくる。展開式ハードトップのRFでも、完全に排除できているわけではない。
現実的な価格で買える傑出ドライバーズカー
画像 シャシーを最大限に活かす喜び マツダ・ロードスター 初代と3代目 RFも 全104枚
