5月29日から、防災気象情報が大きく変わります。
どこが変わったのか、またどんな点に注意すればいいのか。
防災気象情報を出す気象台と、その情報をもとに避難情報を出す市町村に話を聞きました。
高知地方気象台の防災管理官・林哲也さんに新しい防災気象情報の特徴を聞きました。その最大のポイントは。
■林さん
「避難のタイミングをレベルで判断しやすくなる」
一番のポイントは、避難のタイミングをレベルで判断しやすくなること。気象台が出す河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮に関する警報・注意報の情報に、警戒レベルがつくことで、どんな避難行動をとればいいのか、より分かりやすくなるといいます。
警戒レベルは5段階で色分けされていて、白のレベル1・早期注意情報から黒で表示されるレベル5相当の特別警報までが設定されています。
■井手上アナ
「どのレベルから特に注意しなければいけない?」
■林さん
「警戒レベル3相当。赤色のところ。ここはレベル3高齢者等避難と言って避難に時間を要する人は早めに避難や避難の準備をしてもらいたい」
赤で示されるレベル3相当の「警報」は、各市町村が避難情報を出しはじめる段階です。特に高齢者など避難に時間を要する人は赤の「警報」が出たタイミングで早めの避難や避難の準備をはじめましょう。
さらにその上のレベル4相当の「危険警報」は紫で表示され、市町村が危険な場所から全員避難を呼びかける「避難指示」に相当する段階となります。そして。
■井手上アナ
「警戒レベル5になるとどういう状況?」
■林さん
「もう命の危険があるので ただちに安全を確保してもらいたいということ このときはもうすでに大きな災害が起こっていてもおかしくない状況」
■井手上アナ
「警戒レベル4までに避難が必要?」
■林さん
「そうです それをぜひお願いしたい」
注意したいポイントは、河川の氾濫に関する情報はすべての河川が対象になるわけではないということです。
■林さん
「物部川、仁淀川、四万十川 この3つが河川氾濫の情報の対象」
■井手上アナ
「それ以外の川はどうなる?」
■林さん
「それ以外の川 水位周知河川とかその他の河川とか下水道とかあるが 洪水予報河川(物部川・仁淀川・四万十川)以外の川の外水氾濫は 「大雨」のなかで扱うようになる」
気象台から河川氾濫の情報が出るのは、高知県内では物部川、仁淀川、四万十川の大きな3河川のみで、それ以外の川や下水道などは「大雨」の情報のなかで扱うことになります。これに伴い、これまでの「洪水警報・注意報」は廃止となります。
■井手上アナ
「家の近くに小さい川が流れている人で 『雨が降ってきた 大雨の警報レベル3が発表された』」って思ったら近くの河川も気にした方がいい?」
■林さん
「そうですね そのときはキキクルとか河川の水位情報 そういったものも確認することができるので (近くの川の状況に)気をつけてもらいたい」
気象庁が提供するキキクルは、大雨や洪水による災害の危険度をインターネットの地図上で確認できる防災情報サービスです。大雨の警報が出たら県や河川国道事務所が提供する水位の情報や映像と合わせて近くの川の状況を確認しておきましょう。ただ、気象台からレベル3相当・レベル4相当の防災気象情報が出ても市町村から避難指示が出ていなかったり、避難所の開設がまだだったりというケースも考えられます。
林さんは普段からどのタイミングでどう行動するか、想定しておくことが大切だと話します。
■林さん
「この情報が出たらどのように避難するか、とか考えてもらい (市町村の)避難指示とかが間に合わない場合もあるが そういったときにどこに逃げるかっていうのを日頃から頭の片隅でも考えてもらえたら」
では、避難情報を出す市町村はどのように情報を判断して避難情報を出すのでしょうか。
宿毛市危機管理課・課長の大串一生さんを訪ねました。
宿毛市は2018年7月に西日本豪雨に見舞われ、気象台は宿毛市を含む県西部の6市町村に県内ではじめて大雨特別警報を発表。宿毛市の市街地は広く浸水被害に遭いました。
■井手上アナ
「ここは旧市役所庁舎? この辺りも平成30年(西日本豪雨)のときは水に浸かった?」
■大串さん
「建物内までは入らなかったが ぎりぎりくらいまで浸水した」
2018年7月8日、午前5時。宿毛市では観測史上1位となる1時間に108ミリの猛烈な雨を記録し3時間雨量は263ミリにのぼりました。
人的被害も発生し、県内では大月町で2人、香南市で1人が亡くなり、宿毛市でも自宅で土砂崩れに巻き込まれた住民1人がけがをしました。当時、大串さんは危機管理課の課長補佐で、市街地が浸水するなか職員がなんとか集まり、避難所の開設作業や避難情報の発令に追われたといいます。
■井手上アナ
「災害が発生したときはどちらに?」
■大串さん
「そのときは旧庁舎の2階の危機管理課に詰めていた。全く予想していない大雨だったので、急な対応を迫られて非常にてんやわんやしているような状況で。印象深いのは市民の方からの電話が雨とともに増えて『家まで水が浸かってきたとか』『どこに逃げたらいいんですか』とかそういった電話がすごく鳴った印象がある」
その後、宿毛市役所は2022年5月に高台に移転。水害や地震にも強い新庁舎に生まれ変わりました。
■井手上アナ
「この部屋は実際に災害対策本部が立ち上がったときに使用する部屋? このモニターで川の状況なども確認する?」
■大串さん
「そうですね 気象台からのレベルのついた(防災気象)情報も非常に大事な情報だが 河川管理者からのこういった視覚で見えるものとか水位の情報 それを総合的に勘案して市からの避難情報の発令になるので (川の状況も)重要な情報」
宿毛市は、独自の避難判断マニュアルに沿って河川の水位が基準値を超えたら避難情報を出すことを基本に、気象台からの防災気象情報や河川カメラの映像なども参考にしているといいます。
大串さんは西日本豪雨の反省を活かして次の災害に備えたいと話します。
■井手上アナ
「あの豪雨を経験して気をつけないといけないと思ったことは?」
■大串さん
「平成30年西日本豪雨に関しては、急にレベル5相当の被害が出た。非常にリードタイム(準備できる時間)がゼロに等しい状況での対応になったので、いろんなことが後手後手にまわったという反省もある。やはり日頃からの備え。これは役所においても市民の方々においてもそうだが、日頃から備えておかないと、いろんなことが滞ってしまうという反省がある。こういったことを活かしながら次の災害に備えていきたい」
