【やさしく解説】レバノンとは

 米・イスラエルがイランと戦火を交えている間、イスラエルは隣国レバノンに激しい攻撃を仕掛けました。3月以降、レバノン側の死者は2000人を大きく超え、家屋を失った避難民は100万人以上に達しています。米とイランが停戦協議を始めた際も、イスラエル軍はレバノン南部から撤退しませんでした。

 一方、イスラム教シーア派組織・ヒズボラも徹底抗戦の構えを続けています。なぜ、両者はここまで対立するのでしょうか。ヒズボラの拠点であるレバノンの国家事情を踏まえ、やさしく解説します。

イスラエルからの攻撃で噴煙を上げるレバノン(写真:ロイター/アフロ)

イスラエルはなぜレバノンを攻撃する?

 この4月18日、イスラエル軍はレバノン国内に「イエローライン」と呼ばれる軍事境界線を設定したことを明らかにしました。中東のメディア・アルジャジーラによると、国境の北側約10キロの位置に引かれました。ヒズボラがイスラエル側に侵入するのを防ぐとともに、ヒズボラ壊滅に向けた攻撃拠点とするのが狙いです。

 イスラエル軍はパレスチナ・ガザでも「イエローライン」を設けています。黄色く塗られたコンクリート製のブロックを並べているため、こう呼ばれています。ガザの「イエローライン」は、イスラエルとの境界線よりもガザ側に1.5~6.5キロの幅で食い込んでおり、ガザの面積の58パーセントを侵食しています。イスラエル軍が駐留を続け、パレスチナ人が近づけば、容赦なく発砲します。

図表:フロントラインプレス作成

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 レバノン南部には、シーア派の住民が多く暮らしています。双方の戦闘は米国の仲介により、4月18日から停戦に入りました。しかし、停戦が発効しても、イエローライン地域の55の町村への帰還は許されていません。

 イスラエル紙ハアレツによると、イスラエル軍はこの地域で民家、公共施設、学校などの建物を次々と破壊しています。軍にとっての「障害物」を取り除き、住民を帰還させない目的です。当然ながら、レバノン政府もヒズボラも「停戦合意違反の占領だ」と強く反発しています。

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