前人未到の4勝目を狙うロマンチックウォリアー。(Photo by Getty Images)

マスカレードボールら世界の強豪が集結、ロマンチックウォリアーに最大の試練

当初の発表からミュージアムマイルら回避馬が相次ぎ、史上最高とも評されたメンバーから頭数が落ち着いた今年のクイーンエリザベス2世C(QE2C)だが、前人未到の4勝目を狙う地元のロマンチックウォリアー、世界最強の座を視野に入れる日本のマスカレードボールなど、複数のワールドクラスが参戦して例年以上の水準であることに変わりはない。4頭のG1ホースを中心に濃密なレースが展開されそうだ。

2年ぶりの4勝目を狙うロマンチックウォリアーはアイルランド産馬で8歳春の馬齢。中東遠征から帰国した昨年の今ごろは骨折に見舞われ、陣営から遠くない将来の引退を意識する発言もあった。しかし、11月に始動した今季は香港Cでベラジオオペラを一蹴するなど危なげない内容で4連勝と健在をアピールしている。年齢的にはピークを過ぎ、上がり目も望めないはずで、足掛け5年での4勝目は常識的に考えれば難しいのだが、目に見えて衰えを感じさせている面もなく、優勝争いに絡んでくるのは間違いないだろう。

マスカレードボールはジャパンCでカランダガンとアタマ差の激闘を演じ、今回のメンバーでレーティング最高と実力が世界的に認められている大物。これまでロマンチックウォリアーが破ってきた日本調教馬とはひと味違い、日本側から見れば待望の機会が到来した。ドバイ遠征から大阪杯、それを歩様の乱れにより自重して初の海外遠征、予定変更を重ねた末の休養明けで未勝利の右回りと課題は少なくないものの、入念な仕上げを施したという手塚貴久調教師の発言からも勝利の期待は大きい。



初の海外遠征に挑むマスカレードボール。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

世界の強豪と渡り合ってきた経験値ではフランスのソジーが筆頭。昨年は約7カ月ぶりの休み明けでガネー賞、イスパーン賞と2000m前後のG1を連勝すると、凱旋門賞では3着と前年(4着)に続いて上位に食い込んだ。暮れには香港ヴァーズを快勝してシャティン競馬場の適性を証明済みでもありピースをそろえている。距離的には2000mよりも2400mの方が合っており、今回はスピードへの対応が課題だが、どちらかと言えば良馬場向きのため、春先に道悪が多い地元を避けて香港を選択したのは理にかなっている。

英国のロイヤルチャンピオンはロマンチックウォリアーと同じアイルランド産の8歳馬。前走のネオムターフCがG1初制覇ではあるものの、ようやく適性を見つけた感があり、目下の勢いは侮れない。欧州では昨年7月のヨークS勝ちからアイリッシュチャンピオンSでの3着と比較的平坦とされる競馬場で結果を出し、その後はネオムターフCなど中東の平坦トラックで2連勝。シャティン競馬場が合う可能性は高く、程よい間隔で順調に使われてきた臨戦過程にも好感を持てる。

これらG1ホース4頭をまとめて負かすのは難しそうで、ジョバンニとジューンテイクは一角崩しが現実的な目標。ジョバンニは同世代のマスカレードボールに対し、ホープフルSで先着、皐月賞では半馬身後れを取っただけと、右回りの2000mなら互角の成績を残している。皐月賞後は水を開けられてしまったが、前走の金鯱賞は1年ぶりの連対を果たして2000mの適性を印象づけた。J.コレット騎手への乗り替わりもスパイスになりそうだ。

ジューンテイクは一昨年のダービー、昨年の宝塚記念で大敗とG1の壁に当たっている印象。また、これまで重賞2勝の京都競馬場、前走の中京競馬場に良績が多く、初コースでのG1挑戦がどう出るか計りかねる。近走は差しに回るレースが増えているが、格上馬たちに対して同じ形では分が悪い。重賞2勝はともに先行した結果で、格上馬たちが後ろでけん制し合う展開もあり得るだけに、前々で積極的に運ぶ形が得策かもしれない。

ナンバーズは香港ダービーで逃げ粘り2着、香港クラシックCでも好位から流れ込んで4着と上位争いを演じたが、ルビーロットともども実績的に数枚落ちる。行きそうな馬はナンバーズくらいしか見当たらず、ジューンテイクが主導権を握ることも可能だろう。

(渡部浩明)