2026年4月24日 午前7時30分

 【論説】福井県産ブランド米いちほまれの第4次ブランド戦略を兼ねた、「いちほまれを核とした福井県産米の産地強化戦略」が示された。本年度から2030年度までに、いちほまれの生産を倍増させ、主要都市圏での定番商品としての定着を狙う。一方、いちほまれに切り替わる形で、コシヒカリの作付面積は半減し、福井の米作りが大きな転換点を迎える。

 本格的な生産開始から9年目を迎えたいちほまれは、25年の生産量は約1万2千トンで、県内の主食用米の1割まで生産が拡大した。産地強化戦略では、30年までに2万トンまで生産を拡大することを目指す。作付面積が限られる中、長く県産米の主力を担ってきたコシヒカリの作付面積は24年の1万1800ヘクタールから、30年には6千ヘクタールに減る見込みだ。高価格帯米の旗艦ブランドのいちほまれが、これまでの県産米の“看板娘”から、コシヒカリと並ぶ大黒柱として位置付けられたといえる。

 大きな転換の背景にあるのは、近年の猛暑だ。圧倒的な知名度を誇るコシヒカリだが、高温に対する耐性が低く、猛暑による品質低下が全国的に課題となっている。また背が高いことから台風などで倒伏の恐れもある。一方のいちほまれは、食味が良いことに加えて、倒伏しにくく高温にも強い。

 今後も猛暑は続くと予想され、県福井米戦略課は「産地として安定した品質の確保が求められている」と、強化戦略の狙いを説明する。早生(わせ)のハナエチゼンの後継として開発され、名称が今月発表された「はな結び」も、近年の猛暑でも品質を維持できる品種だ。強化戦略では5年間で、ハナエチゼンからはな結びへの全面切り替えを目指すとしている。

 いちほまれは、関東、中京、関西の大都市圏で、大島優子さんら著名人を使ったテレビCM放映や大型店舗での試食会などを展開し浸透を図ってきた。いちほまれの売りは、卸売業者から高い評価を得ている食味だ。県の担当者も「一度食べてもらえば、リピーターになる人が多い」と自信を見せる。

 生産増加で、県はいちほまれが常に売り場に並ぶ存在となり、試食会などで味わう機会を増やして購入層を確保するロードマップを描く。県の調査によると、20年に19%だった認知度は、24年には36%と高まった。しかし、コメの産地間競争が激しさを増す中、全国のブランド米の中から選ばれる存在になることは容易ではない。福井の米作りが転換点を迎える中、都市圏での販売や認知度向上に向けた取り組みを加速させる必要がある。