罪を犯した人や非行少年の立ち直りを支援する保護司の活動をより多くの人に知ってもらおうと、奈良保護観察所(奈良市)の木下裕志所長(58)が、奈良県内にいる保護司のエピソードを集め、演劇として上演するプロジェクトを進めている。5月頃から募集を始め、地元の劇団や学生の協力を得て今年度内に上演するのが目標。木下所長は「保護司の活動を知り、再犯防止をみんなで考えるきっかけになれば」と話している。(池田光汰)
「保護司の活動について知ってもらいたい」と話す木下所長(奈良市で)
保護司は民間ボランティアで、刑務所や少年院を出た人らの更生、社会復帰を無報酬で支援している。保護司は県内には今年1月時点で517人いる。2024年は547人、25年は536人と減少傾向にある。これまでも保護司について知ってもらう啓発活動には力を入れてきた。ただ、ポスターなどを使う啓発では限界があった。
思いついたのが演劇だ。保護司の活動を演劇で表現することで「こういう人たちが地域にいる」という事実を、より深く伝えることができると考えた。
24年5月、大津市で男性保護司が自宅で保護観察中の男に殺害された事件が起きた。当時、木下所長は岐阜保護観察所長だった。事件を機に保護司のなり手が減ることを危惧した。
ただ、岐阜で活動する保護司に話を聞くと、身の安全よりも「保護対象者が偏見の目に
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されてしまう」という心配の声がほとんどで、「この人たちは本当にすごいと思った。保護司に対して、世の中がもっと敬意を持ってほしい」と考えるようになった。岐阜ではエピソードを集め、脚本もできたが、上演までに至らず。今月に赴任した奈良では実現させたいと意気込む。
今回、募集するのは県内の保護司が、活動中の心に残っている言葉、失敗した経験、うれしかった瞬間など。所定の様式はなくメモなどでもよく、関係者が特定されないよう配慮し、匿名でも構わない。木下所長は「一人ひとりの悩みや葛藤を美化せず、そのまま表現したい」と話している。
問い合わせは奈良保護観察所(0742・23・4869)。

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